防災セミナー＜行動編＞：前半

9/11 Sat 2021

災害時に使えるテクニックやアイデア料理など、クイズゲームを通して大切な家族を守るための自衛術を楽しく学びました。

本日の講師

辻直美（国際災害レスキューナース）：一般社団法人育母塾代表理事
国境なき医師団の活動で上海に赴任し、医療支援を実施。帰国後、看護師として活動中に阪神・淡路大震災を経験。実家が全壊したのを機に災害医療に目覚め、JMTDR（国際緊急援助隊医療チーム）にて救命救急災害レスキューナースとして活動。現在はフリーランスのナースとして国内での講演と防災教育をメインに行い、要請があれば被災地で活動を行っています。
著書に『レスキューナースが教えるプチプラ防災』『レスキューナースが教える新型コロナ×防災マニュアル』（ともに扶桑社刊）があります。

講師辻さんが災害に目覚めた経緯

阪神大震災で実家が全壊したことにより防災に目覚めました。その後2ヶ月遅れで東京の病院の救命救急部に勤務したのですが、勤務初日に地下鉄サリン事件が発生。多くの患者が運び込まれるのを目にし、災害に対する専門ナースの必要性に気付きました。これまではプロに対する教育をしていましたが　個人個人が防災に目覚めなければ「助かるものも助からない」という思いにいたり、現在はフリーのナースの傍ら、一般の方に向けて防災を伝えています。
「災害は怖いけど防災はオモロイ」を思いながら皆様にお伝えしています。

今日学べる事

災害は発生して終わりではありません、災害発生後にも生活があります。
防災の目的は減災です。
減災をしてなるべく早く元の生活に戻すために何をすればいいか。被災しないではなく減災を目標に！

基本的な防災の考え方
あなたが今すぐ出来ること
防災クイズ
講師はどんなことをしているのか
質疑応答

水害時の様子

水害が起きたら、床下浸水、床上浸水が発生します。
また浸水により物が移動する、水の勢いが強いと渦が発生し、物が絡まります。

【水害に対して今すぐ出来ること】
・ハザードマップを確認しておく
・逃げるタイミングを家族で決めておく
・逃げる場所を家族で決めておく
避難所は全ての災害に対応している訳ではありません。
水害用、地震用、火災用それぞれの避難所を確認しておきましょう。また、避難所はすぐにいっぱいになるので、3つ候補を決めておきましょう。

地震時の様子

地震が起きたら、物が落ちる、物が倒れる、物が移動する、物が飛ぶ。
講師　辻さんも阪神淡路大震災の時にテレビが飛んできて顔を骨折しています。
家や会社で安全な場所を確認しておくことも大事です。

在宅避難をするために、災害に強い家、災害に強い自分をつくることが大事です。
【今すぐ出来ること】
・360度見回して、「危ない」を意識し、そこから逃げるようにする。
・正面や上、お子さんがいる場合にはお子さんの目線でも確認しましょう。
・危ないものは片付けましょう、片付けられないものの場合、災害時はそこから逃げましょう。

避難所の様子

2021年の九州北部豪雨の際の避難所の様子です。新型コロナ感染症対策のため、収容人数を1/3に減らしています。
避難所は寝る場所を確保するために利用します。それ以外の食事などは期待しない方が賢明です。必要なものは防災リュックに入れて持ち込みましょう。
避難所の運営者も被災者です。
防災リュックには必需品だけでなく、好きなお菓子やエンターテインメントも持ち込むことで心の安定が図れます。
食事は、防災食ではなく、食べなれているものを持ち込みましょう。
そのため、普段からよく食べているものを多めに買い、備蓄しておきましょう。

被災生活で大事なことは、日常生活に近づけることです。
1.普段の生活で、あなたが譲れないことは何ですか？（睡眠？食事？トイレ？臭い？）
2.譲れないことに優先順位をつけて準備しましょう。
3.なくてもできる代用品を用意しましょう。
例えば、ガスの供給が止まってもカセットコンロでご飯を炊いたりなど、出来ることを考えて、平時に体験しておきましょう。

防災をお子さんやご高齢の方に説明する時には「恐怖」で説明してはいけません。
・出来ることを伝える
・既に出来ていることを伝える
防災は既にやっています「寝る前にトイレに行く」「お子さんと出かけるときにはおむつを持っていく」など。

防災クイズ

新型コロナ感染症対策編

感染拡大を防ぐには、正しい知識が必要です。あなたのレベルはどれくらい？3秒でお答えください。

問題①　手の消毒で効果があるのは？ A：石鹸で30秒洗う B：流水で20秒洗う C：アルコールを揉みこむ	正解　「全部」石鹸がなくても流水で20秒洗えばウィルスは流れます。出来ることを実行しましょう。
問題②　アルコールの消毒液は？ A：もったいないから少し使う B：ビチャビチャになるように使う C：しっかり使うがすぐに拭く	正解　「B」少量のアルコールではウィルスは死滅しません。したたり落ちるほどの量を使いましょう。
問題③　アルコールをつける場所は？ A：掌と手の甲が中心 B：指先と爪の間 C：指先から手首まで	正解　「C」人は手首から小指の先までの外側が特に汚染されています。

コロナ対策として大事なのは、
マスク　／　うがい　／　消毒　／　手洗い　／　除菌　／　換気
一人ひとりが感染対策を確実に実行することにより、感染拡大は防げます。

災害対策編

災害時に大事なことは、「怪我をしないこと」と「死なないこと」。
あなたのレベルはどれくらい？3秒でお答えください。

問題①　水と食料の備蓄の目安は？ A：行政と救援物資があるので不要 B：3日分 C：7日分 D：14日分	正解　「D」想定している南海トラフや首都直下地震などの場合は、被害エリアが広いので、すぐには救援物資が届きません。インフラの復旧にも時間がかかります。
問題②　震度5の地震発生、あなたの取るべき行動は？ A：火を消す B：身を守る	正解　「B」震度5相当以上の地震発生時にはマイコンメーターにより、ガスの元栓が閉じます。マイコンメーターの取扱い（ガスの復旧）方法も覚えておいてくださいね。
問題③　震度5の地震発生、家の中が倒壊。あなたはどこに逃げる？ A：玄関 B：トイレ	正解　「A」昔に比べてトイレの四隅にしっかりした柱があるとは限らないので、トイレは閉じ込められる可能性もあり危ないと言われています。すぐに玄関に逃げるのが新しい常識になっています。被災時に玄関扉まで通路が確保されるかどうか確認しておきましょう。
問題④　家の中の子供と離れた場所で被災。あなたの取るべき行動は？ A：子供の名前を呼んで、「ママはここよ」と声をかける B：まずは自分の身を守る	正解　「B」名前を呼ぶと子供は何とか移動して来ようとします。それにより瓦礫で怪我をしたり、ギリギリのバランスの家具などが倒れることもあります。まずは自分の身を守り、その後で子供の所に自分が行くようにしましょう。
問題⑤　緊急避難するときに優先して持参するのはどれ？ A：水や食料　　B：情報収集機器 C：衣類　　　　D：常備薬やメガネなど	正解　「D」自分に合わせたものは避難物資にはありません。薬や入れ歯、補聴器、義足などは持参する必要があります。コンタクトを常用している方はメガネも忘れずに。
問題⑥　台風前に停電を予想して直前に準備するときあなたのとるべき行動は？ A：氷や凍った保冷材を多く作る B：氷や保冷材は新たに作らないようにする	正解　「B」直前に氷や保冷材を多く作ると電気に負荷がかかり、直後に停電になると食品を傷めることになります。早めに台風情報を確認し、氷や保冷材を準備しましょう。
問題⑦　冠水した道路を歩く時の靴は？ A：足が濡れないように長靴を履いて歩く B：歩きやすいように運動靴を履いて歩く	正解　「B」少しの水でもその後の水位の想定できないので、長靴を履くと水位が上がった時に中に汚水が入り、歩きづらくなります。歩きやすい運動靴の紐をしっかり締めて歩きましょう。
問題⑧　水没した電化製品は？ A：製品内部まで完全に乾いても使わない B：製品内部まで完全に乾かして使う	正解　「A」もしかしたら漏電するかもしれないし、スパークするかもしれません。絶対に使わないでください。
問題⑨　災害伝言ダイヤルの番号は？ A：581　＝　コワイ B：889　＝　ハヤク C：171　＝　イナイ D：279　＝　ツナグ	正解　「C」災害発生の30分後から開設される。毎月1日・15日もしくは15日・30日にテスト使用ができるので、家族で確認しておきましょう。
問題⑩　避難所から帰宅、最初にあなたの取るべき行動は？ A：片付ける B：写真を撮る	正解　「B」罹災証明や保険の証明用に被災状況の写真を撮る。動画ではなくて静止画が必要です。

みなさんクイズの正解率はいかがでしたか？
災害が進化すると、防災も進化します。昔言われていた「地震だ、火を消せ」や「逃げるときに水と食料優先」は今は違います。防災の知識は常にバージョンアップして最新知識を身に付けるようにしましょう。

後半は、災害時の情報収集や日常の対策についてお伝えします。

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