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【オンライン】防災セミナー<地震入門編>:後半

2/27 Sat 2021

東日本大震災から10年。本当に必要な防災とは?
数々の災害現場を体験された国際災害レスキューナースの辻直美さんから実際に使える防災術を学びました。

本日の講師

辻 直美(国際災害レスキューナース):一般社団法人育母塾 代表理事
国境なき医師団の活動で上海に赴任し、医療支援を実施。帰国後、看護師として活動中に阪神・淡路大震災を経験。実家が全壊したのを機に災害医療に目覚め、JMTDR(国際緊急援助隊医療チーム)にて救命救急災害レスキューナースとして活動。 現在はフリーランスのナースとして国内での講演と防災教育をメインに行い、要請があれば被災地で活動を行っています。
著書に『レスキューナースが教える プチプラ防災』『レスキューナースが教える 新型コロナ×防災マニュアル』(ともに扶桑社刊)があります。

今日学ぶこと

  • 自分の防災知識で助かるのか?
  • 備えはものを買うことではない
  • プロはどんなことをしているのか?

「72時間」は命のデッドラインといわれ、72時間の対策が必要と言われますが、インフラは72時間で戻るとは限りません。復興までは長い道のりです。自助と共助と公助で生き延びましょう。
必要なのは、「知識」「物」「経験」を備えることです。

前半は、クイズから防災について学びました。

地震が発生したとき

地震の種類は2つあります。
【直下型】
 断層がずれて起こる / 揺れてからエリアメールが鳴る / 下から突き上げるような揺れ
【海溝型】
 プレートがずれて起こる / エリアメールが鳴ってから揺れる / 小さな揺れ→大きく回る / 津波が起きる可能性がある

海溝型は津波が起きる可能性があるので、すぐに逃げることを考えてください。
※自分の住む地域が津波の可能性のある場所かどうかハザードマップで確認しておきましょう。

また、どこに逃げるか?普段から安全な場所を探しておく必要があります。
※南海トラフは海溝型地震 ⇒ 津波が起きる可能性があります。

地震が発生したときにはまず身を守ることが重要です。

<ダンゴムシのポーズ>
頭と首のうしろ(延髄)を守る。
手のひらをクロスにして首のうしろにあてて、おへそを見る。
なるべく机の下など安全な場所へ。

小さいお子さんがいるときは、大人が上から覆いかぶさって、 お子さんの頭と首と背中を守ってください。

非難の判断

地震が発生してから、いろいろな選択をしなければなりません。

【災害時のフレッシュな情報の収集】
安心できるものを選ぶことが大切です。
 気象庁「防災情報」 / 国土交通省「防災情報」 / 自衛隊 /地元自治体 / 消防 など
 信用できる防災アプリを事前に登録しておいたり、SNSも有効です。

非難移動について

基本

・避難はなるべく明るいうちに
・避難所は隣近所に声をかけて集団で

災害時の目標

・死なない
・怪我をしない

その為に大事なのは
・普段から床にものを置かず、避難動線の確保をしておく
・夜の災害に備えて普段から手元にライトやランタンを置いておくなどです。

CHECK <防災リュック>
「0次持出」と「1次持出」があります。

0次持出
常に携帯
薬、メガネなども
1次持出
一時避難所に持参
72時間以上を想定したもの

自治体などのリストを参考にして下さい。ただし、個人個人により必要なものがあります。皆さんが生活のなかで大事にしたいものを叶える商品を追加で入れておきましょう。
洋服は3日分を目安に。ジッパー付きのビニール袋に圧縮して1日分づつに分けて入れておくと使いやすいと思います。必要なものは季節により変わるので定期的に見直ししましょう。

避難生活には心を落ち着かせるもの、リラックさせるもの、気持ちを上げるものをご用意ください。
・自分の好きな香り … アロマオイルなど香るもの
・触って落ち着くもの … ぬいぐるみ、毛布、おもちゃなど触れるもの
・見て癒されるもの … 家族・好きなアイドル・お気に入りの景色の写真・本・漫画など見るもの

実際の避難所での生活

避難所は住民の2%の収容しか想定されていません。コロナ禍では更に1/3に減ります。
避難所には「何もない」と思ってください。基本的には自分の持って行ったもので生活をします。

避難所の食事例

例)ある災害で、4人家族が1日で配られた食べもの
  朝:おにぎり1個※4人で分ける
  昼:菓子パン1個※4人で分ける
  夜:お弁当1個※4人で分ける
  朝昼晩全て1人1個ではなく、4人で1個を分けたそうです。
  これが3日間続きました。でも貰えただけラッキーでした。

例)別の災害での昼食

ごはんと茹でたジャガイモ1個とお汁で、ふりかけは持参したもの。毎回この食事だったそうで、皆さんは2回目くらいから「食べたくない」とおっしゃっていたそうです。

在宅避難について

在宅避難をするためには、「災害に強い自分」「災害に強い家」を準備しましょう。
今家の中を見渡して「危ないな」と感じる場所はありまんか?
あなたの「危ないな」と感じる場所を解決していきましょう。
地震の時には物は「落ちる・倒れる・移動する・飛ぶ」の4つの動きをします。物の性能が良くなれば、軽量化され、より「動き」やすくなります。物が動かないための対策が重要です。家具の倒壊や物の散乱により、避難経路が塞がれることもあります。地震が来ないことを願うより、備えましょう。

ー大阪北部地震(2018.6.18 7:58 最大震度6弱)時の室内の状況(同じマンションの隣接する住戸の様子です)ー

寝室

リビング

本棚

キッチン

災害用備蓄について

■ローリングストック
■プラス1備蓄
備蓄→消費→備蓄→消費→…を繰り返すやり方です。
食事であれば、普段から食べているものを多めに買って、食べながら備蓄をします。
災害時に災害食ばかり食べていると気持ちが落ちるため、災害時にも出来るだけ普段から食べているものを食べるようにしましょう。 普段から食べなれている料理を災害時にも食べられるように、普段から災害を想定して料理してみてください。 災害時にいろいろな食事をとることが出来るように、缶詰や市販のソースのアレンジなど日ごろからいろいろ試しておくことをお勧めします。また、お気に入りのお菓子などを用意しておくことも大事です。災害時でも少し幸せな気分になれます。

CHECK 「水」は誰にとっても大事です。日頃から備蓄しておきましょう。
 ■災害時の水の目安は1日1人3リットル
 ■最低10日分は用意
普段使う「水」を多めに買っておいて使ったら足す、使ったら足すを繰り返す=ローリングストックします。 そして、使い方が大事です。普段の生活では水をどのくらい使っているかご存知ですか?
普段の生活でどれくらい水を使っているのか確認してみてください。

災害を想定して準備をしていれば、ライフラインが切断されてもきちんとした食事はとれます。

※辻さんの災害時の食事

アルミの飯盒と固形燃料を使ってご飯を炊いて、飯盒の上で缶詰と汁物を温めました。冷凍庫にありながら自然解凍されてしまったイクラをのせて豪華いくら丼定食の完成です。
ライフラインが止まったことを想定して家にあるもので調理する練習をしておきましょう。

【火を使わずにパスタを作る】
1)ジッパー付きビニール袋に早ゆでパスタ(3分茹でくらい)とお湯を入れて、3分放置。
2)柔らかくなったら、お湯をきってパスタソースと和える。 
 ※でんぷん質の入ったお湯は油が取れやすいので、被災地では捨てずに洗い物に使います。
普段食べているパスタにはなりませんが、充分美味しく食べられます。

本当に使える家にある防災グッズ

BEST1ペット用トイレシート

災害用トイレ・安楽枕・洗髪時のタオルがわり など
※ライフラインが途切れたときにお風呂のお水でトイレを流さないで!パイプが破損しているかもしれません。

BEST2ペットボトル

シャワー・ランタン・皿・カップ

BEST3ゴミ袋(45リットル)

貯水タンク・雨合羽・災害用トイレ

ちなみに、ライフラインが途切れたときは、排水管も破損している可能性があります。キッチンや洗面所からも水を流してはいけません。全てペット用シートに吸収させてください。
その他、新聞紙は暖を取ることに使えたり、災害用の履物にも使えます。

【防災足袋のつくり方】
https://www.youtube.com/watch?v=rpZSe9ZvhSc
新聞紙3枚で片足分、足首まで覆うように作るのがポイント。
「災害は怖いけど防災はオモロイ」
他にも身の回りのもので、いろいろ試してみましょう!

テクニックより大事なこと

コミュニケーション

ご近所やマンション内で挨拶をすることで、周りの人に存在を知ってもらいましょう。自分の存在が知られていなければ災害時に助けに来てもらえないかもしれません。
今後も辻さんからのメッセージを「防災コラム」としてお届けします。
国際災害レスキューナーズが教える災害を生きぬくヒント

質問タイム

Q1「大災害の際に車での避難は?」
A.

東京都の場合には使える道路が限られることから、大渋滞になることが想定されるので、徒歩で逃げることを推奨しています。車での移動は1週間位たって地震が落ち着いてから。ハザードマップでナマズマークがついている道路は緊急自動車用で一般車は使えません。

Q2「防災備品は何日位を想定すればいいの?」
A.

防災リュックは3日分位で、男性は15キロ、女性は10キロで詰めることをイメージしてください。

Q3「キッチン吊戸棚に割れ物を入れるのはNGだと思いますが、辻さんは吊戸棚に何を入れているのですか?」
A.

キッチンだからキッチンで使うものをとは考えず、ふきんやタオル、毛布や紙物のストックなど落ちてきても問題のない軽いものを入れています。

Q4「ライフラインが切断されたときに、マンションではトイレなどの水を流してはいけないとのことですが、戸建ての場合にはどうでしょうか?」
A.

1回流してみて、確認を取ります。基本的には1日は災害トイレを使って様子をみることが推奨されています。

Q5「リュックの中に通帳印鑑とか権利書とかそういう資産の証明は入れるべきでしょうか?水没や火災で失われることを考えたら持ち出すのがいい気がしますが、その心配が少ない場合、逆に避難所での盗難紛失も怖いなと。」
A.

基本的には持参せず、コピーを持って避難するようにお勧めしています。避難所は貴重品を管理できるスペースもなく、皆、極限状態になると盗難なども起こります。持っていくことで、疑心暗鬼になり、避難所での人間関係がギクシャクすることも多くあります。罹災時には通帳が無くてもお金をおろせる対処がされます。その際には保険証のコピーを持っていることで、スムーズに手続きできます。私は金庫を借りて保管しています。

知らなかったことも多くあり、また知っていることは復習でき、大変勉強になりました。今から色々と対策していきたいと思います。 ペットボトルのランタンなど子供も楽しめる部分があって良かったです。

全体を通して楽しかったです!
ほぼ毎日防災のことを考えて家の中の整理をしていますが、まだまだできること(被災時の精神的なケアとか含めて)考えることたくさんありそうだなと思いました。ペットシーツ、本棚の滑り止めシート導入します。

普段使いのものが防災グッズになることが分かって興味深かった。
避難所に対する大き過ぎる期待をみんなに持たないよう伝えることが必要だと思う。

海外にいたため、地震の経験が30年近く無いので参考になりました。地震の用意は車での泊まりにもべんりですね。
家族の写真を持つことも大切だと思いました。