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諏訪晴美の楽しむベランダ・ガーデニング

風邪の予防やひき始めに
寒い冬を乗り切るための家庭で活かせるメディカルハーブ

はじめに

寒くなってくるとベランダのハーブの生長も遅くなり、地上部が枯れてしまうものもあります。冬の間はスーパーマーケットやハーブショップで購入できるハーブも使ってみてはいかがでしょうか。今回はご家庭でできるメディカルハーブについてご紹介いたします。

レシピ動画付き
・エキナセアとカレンデュラを使ったお粥
・ハーブ出汁パックを活用した佃煮

冬のための日本のハーブ 「葛」について

エキナセアとカレンデュラのお粥

エキナセアとカレンデュラはハーブショップで乾燥したものがハーブティー用に販売されています。エキナセアはハーブを少し勉強されたことがある方は、「風邪」と聞くと最初に思い浮かぶハーブの1つだと思います。免疫力を高めるハーブとして代表的なものです。ハーブティーでも美味しく飲めないわけではありませんが、普段ハーブティーを飲み慣れた方ですと、ちょっと飲みづらいかもしれません。

このレシピは大人の方からも子供まで好評なので(自分で言うのもおかしいですよね笑!)ちょっとハードルが高いかもと思わずぜひチャレンジしてみてください。お粥が苦手な方は手軽にできるお茶漬けレシピもご参考にしてください。

その前にエキナセアとカレンデュラについて説明します。

エキナセア

手のひらをいっぱいに広げた程の大きな花をつけ、草丈も1m以上になる植物です。なかなかプランターでは育てられませんがどこかハーブ園などにお出かけの際はぜひ探してみてください。花びら、茎、葉、根の全てをお茶にすることができます。私は今年、お邪魔した畑でいただいたエキナセアのぷっくり膨らんだオレンジ色の花芯を、ユーカリとラベンダーと束ねてハーブスワッグにしてみました。

キク科
作用:免疫賦活、創傷治癒、抗菌、抗ウイルス、消炎

エキナセアは北米の先住民が最も大切にしたハーブで風邪や伝染病の治療に用いられました。戦後ドイツを中心にエキナセアの科学的研究が進められ免疫賦活作用や抗ウイルス作用などの有効性や安全性が確認され、現在でもドイツなどメディカルハーブが暮らしに根強い地域では、風邪の時には内用で、傷には外用(アルコールなどに抽出して使用します)で使用されています。日本の葛根湯の存在にも近いかもしれません。

カレンデュラ

マリーゴールドとも呼ばれることはありますが、お花屋さんで見かけるマリーゴールドとは別の品種の植物です。私は自宅でカモミールとカレンデュラをホホバオイルに漬けて、自家製のトリートメントオイルを作り水仕事の後や子供達の肌が乾燥した時に使っています。

別名:マリーゴールド
和名:トウキンセンカ

キク科
作用:皮膚・粘膜の修復、消炎、抗菌、抗真菌、抗ウイルス

カレンデュラは、黄色い花とオレンジ色の花があり、その花びらを利用します。カレンデュラもハーブティーなどで内用に。植物油に浸出したカレンデュラ油を用いたクリームなどは市販されているものも沢山あり、手荒れや入浴剤などにも利用されています。傷、火傷、口内炎、喉の炎症などに古くから用いられています。また抗菌作用についても確認されています。日本でもお刺身に同じキク科の黄色い菊の花が添えられていますね。お醤油と一緒にお刺身につけて食べることで毒消しになることから利用されています。

カレンデュラとエキナセアのお粥
~風邪のひき始めにや身体をいたわりたい冬に~

お粥のレシピ、ハーブ出汁パックを活用した佃煮レシピ、それからもっと手軽なお茶漬けレシピ!

カレンデュラとエキナセアのお粥

材料(2~3人分程度)

カレンデュラ(ハーブティー用 大さじ1)
エキナセア(ハーブティー用 小さじ2)
鰹節 2g
昆布 3g
ご飯(炊いたもの)200g
水 700cc
鯛などの白身魚 お刺身用 100g
みつば
ごま
塩 少々
出汁袋

※他、かぶや大根など白い色の消化の良いお野菜などを入れるのもおすすめです。

作り方

1、鍋に水を入れ、 そこに昆布を入れ30分ほど浸けておきます。

2、出汁パックにエキナセア、カレンデュラ、鰹節を入れます。

3、1に2を入れ弱火でかけ沸騰し始めたらすぐに火をとめます。

4、昆布と出汁パックを取り出し冷ましておきます。

5、鍋にごはんを入れて煮立ったら弱火にして5分ほどかき混ぜながら煮ます。

6、あとはお好みで魚の刺身、みつば、ごまを。

出汁パックの中身で作る佃煮

出汁パックの中身はこのまま捨てたらもったいない!
まだまだ成分は残っています。出涸らしの佃煮レシピを紹介します。

材料

出汁パックの中身(エキナセア、カレンデュラ、鰹節)
昆布(出汁を取ったもの)
生姜 1/2片
醤油 大さじ1
みりん 大さじ1/2
砂糖 大さじ1/2

作り方

1、冷ました出汁パックの中身をみじん切りに、 昆布と生姜を千切りにする。

2、小鍋に1とすべての調味料を入れ、水分が飛ぶまで弱火で混ぜながら煮ます。

手軽にお茶漬けでも!

ポットに、エキナセア、カレンデュラ、鰹節、熱湯を入れ5分ほど待ちます。普通のお茶漬けのようにご飯の上にかけます。最後に塩昆布を少々かけて完成です!柚子の皮を足すと一層美味しいです。

風邪の時にはあたたかくて甘い葛湯でほっと一息!

葛(くず)

私は幼い時に、風邪をひくと祖母が作ってくれる葛湯が楽しみでした。大人になっても冬になると時々飲みたくなります。喉や口内炎の痛みを落ち着かせてくれるので、生姜や柚子など入れて飲んでいます。最近は、きな粉や抹茶入りのものも販売されていて、カップにお湯を注ぐだけで美味しい葛湯が飲めますね。

マメ科
作用:血行促進、発汗、解熱、鎮痛

葛の根から取れる葛粉は葛切りなどの和菓子や葛湯に、花はお茶にします。また葛の根は葛根湯の原料のベースであり、肩にこわばりのある風邪の引き始めや、下痢、頭痛などの時にも利用されてきました。

ハーブを使った葛湯

葛自体日本のハーブですが、西洋のハーブで香り付けをしてみました。定番の生姜や柚子も美味しいですが、消炎作用のあるカモミールと皮膚・粘膜の修復と抗菌作用のあるカレンデュラのブレンド。
葛湯を200cc作るには、ジャーマンカモミール(ハーブティー用)とカレンデュラ(ハーブティー用)をそれぞれティースプーン1杯をポットに入れハーブティーを作ります。そのハーブティーと葛粉(もしくは葛湯用の粉)を入れて火にかけます。生姜の擦り下ろしを少々入れダマにならないようによくかき混ぜながら火にかけます。お好みでお砂糖を入れお好みのとろみが出たら完成です。

ジャーマンカモミール

和名:カミツレ

キク科
作用:消炎・鎮静、鎮痙、駆風

カモミールも花をお茶にしたり、植物油に浸出してトリートメントオイルやクリームを作ったりします。ほんのりした甘い香りは心身を癒してくれます。

ジンジャー

和名:ショウガ

ショウガ科
作用:消化機能促進、制吐、消炎、鎮痛

熱帯アジアの原産のハーブで古代から医療に役立てられてきました。乾燥させることにより成分であるジンジャーロールが消炎・鎮痛作用の強いショウガオールに変化します。皮ごと使うと香りも良いと言われます。

終わりに

身近な日本のハーブもアメリカ大陸の先住民が使っていたハーブも、長い年月を経て人から人に伝えられてきたということを忘れてはいけないと思います。先人達の知恵から学び、戦後科学的な研究が進み世界のハーブの成分の解析がされてきました。国によって保険医療の範囲で使われていたり、民間薬として使われていたりしていますが、家庭でできるメディカルハーブとしてこれをきっかけにご興味を少しでも持っていただければ幸いです。

諏訪 晴美(すわ はるみ)

ハーバルライフデザイナー。NPO.日本メディカルハーブ協会 企画広報委員。高校の家庭科や、専門学校のガーデニング科の講師。また自身の運営するハーブ教室「ハーブと私」でハーブ料理やメディカルハーブについて講座を開催している。独協医科大学でプラントセラピーの研究論文。他雑誌などでハーブ料理レシピを掲載。

・著書:『もっと暮らしに 毎日のハーブ 使いこなしレッスン』 (メイツ出版)
・著書:『四季の花レッスン 小さな彩りを楽しむ』 (メイツ出版)
・過去の主な出演番組
NHK あさイチ「あさイチガーデン」フラワーアレンジメント講師/テレビ東京「畑のうた」家庭菜園講師など

※現在オンライン教室も各種開催を始めております。
https://www.yukiyanagi.com/

参考文献
『ハーブ&ライフ検定テキスト』 池田書店/『メディカルハーブの辞典』 東京堂出版

  • 本ページ内に掲載の情報は2020年11⽉時点のものです。