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お家でかんたんクリーニング
はじめに
2015年6月に東京建物Brilliaオーナーズクラブのイベントにて、「アイロン掛けの極意」を伝授くださった中村祐一さんのコラムです。
お気に入りの衣類こそ、長くキレイをキープしたいもの。"洗濯王子"として親しまれるお洗濯の専門家、中村祐一さんにお家クリーニングのテクニックを教えていただきました。「これって、お家で洗えるかな?」の境界線が変わるかもしれません。
やさしく洗えば、長く着られて、エコになる。
定番アイテムやお気に入りの洋服こそ、登場回数に比例してお洗濯の機会も多くなるもの。どうせなら、ダメージを最小限に抑えるテクニックをマスターして、より長く美しさをキープしたいですよね。"お家で洗える?"の境界線は、「洗濯表示をしっかり見ること」「素材を知ること」。そして、最後に「その衣類に対する自分の評価」。まだまだ着続けたい思い入れのある洋服なら、自分で無理をしないで潔くプロに任せる、など自分なりのルールを決めるのもいいかも知れません。今まで、難しい…と頭を悩ませていたお洗濯も、コツが分かれば案外簡単。また、最近は洗濯グッズや洗剤にもデザイン性がよいものや、エコを意識したアイテムがたくさん。簡単で楽しいお洗濯がエコになる、なんて素敵です。
まずは、基本のウール100%ニットに挑戦。
お家で洗いたいものナンバー1、ウールのニット。カシミヤ、アンゴラ、モヘヤなど、長い毛足の風合いを生かしたいものや、編み目がゆるいものは縮みやすいので避けた方が無難です。
用意するもの
おしゃれ着用中性洗剤/柔軟剤/洗濯ネット/平干し用ネット
[1]洗面器などに水と、表示分量のおしゃれ着用中性洗剤を溶かし、洗濯液を作ります。
[2]袖口や首回りなどが汚れが気になる部分を洗濯液に浸し、下洗いします。伸縮や毛玉を避けるため、軽く握るようにやさしく。
[3]袖口を外に出すようにたたみ、洗濯ネットに。ボタンがあれば留めておきましょう。ポイントは、水中でのニットの動きを最小限にする小さめのネットを使うこと。
[4]静かに洗濯液につけ、ゆっくりと数回押し洗い。汚れ具合によって、5~10分つけ置きを。
[5]水を換え、約10回押すようにすすぐ、を2~3回繰り返し、最後に表示分量の柔軟剤を水に溶いたものになじませ、軽く水を切る。
[6]洗濯機で『10秒脱水→一時停止』を2~3回繰り返し、脱水後すぐに形を整えて平干しに。脱水ネットが無い場合は、お風呂のフタなどに広げ、ある程度乾いてから吊り干しに。
色落ちとシワに注意したい麻のパンツ。
麻はシワになりやすいので、洗濯機での脱水を避け、タオルドライを。折りたたむ回数をなるべく少なくするのも、キレイを保つポイントです。シャリシャリした風合いを活かしたい場合は柔軟剤無しでOK!
用意するもの
おしゃれ着用中性洗剤/柔軟剤/バスタオル
[1]色落ちしていないかを確認しながら、洗濯液に5~10分つけ置きする。
[2]水を換え、約10回押すようにすすぐ、を2~3回繰り返し、最後に柔軟剤を入れてなじませ、軽く水を切ります。
[3]バスタオルで挟み、前上から軽く押して水気を切ります。タオルドライは、シワがつきやすい衣類全般に応用できるテクニック。
[4]手で叩きながらシワを伸ばし、筒干しに。色物はシワ部分が白くなることも多いので、シワ伸ばしはしっかりと。
自分で洗えるなんて、驚き!ダウンジャケット。
生地がナイロン、ポリエステルなら、羽毛入りの衣類もお家で洗えるというから驚き。水に浸すと羽毛が固まるので、とにかく素早い作業を心掛けて。
用意するもの
洗濯用固形石けん/洗濯ブラシ/スポンジ/おしゃれ着用中性洗剤
POINT 羽毛が片寄ったら、指で広げて。
羽毛がキルティングの角や端に片寄ってしまった場合は、指でつまみながら、やさしく揉むように左右に動かせば、簡単に散らすことができます。
[1]浴室で、洗濯ブラシに水をつけ、エリや袖口の黒ずみ部分を湿らせたら、洗濯石けんを汚れに直接塗りつけ、ブラシで強めにこすります。
[2]表示分量のおしゃれ着用中性洗剤を溶かした水をスポンジにつけ、表面全体を軽くこすります。先にエリや袖口をしっかりとすすぎ、表面全体にシャワーで水を掛け、洗濯液を洗い流します。
[3]軽く水を切ったら、きちんとたたんで洗濯槽へ。『1分脱水→一時停止』を3回繰り返します。ネットに入れると脱水にムラが出るので、そのままで。
[4]形を整えて、吊り干しに。湿っている時間が長いと臭いが出やすくなるので、風通しのよい所に干すなど、早く乾かす工夫を。
クリーニングのもっと知りたい!
台所用中性洗剤とクレンジングオイルで基本のしみ抜きはOK。
[1]化粧品やクレヨンなど、油分が強いシミには、台所用中性洗剤とクレンジングオイルを1:1で混ぜた万能クリーナーを。汚れが浅いものなら、台所用中性洗剤だけでも大丈夫。
- ※ 丸洗いできる素材であることが前提条件です。
[2]裏側の生地への色移りを避けるため、シミの裏側にティッシュペーパーなどを挟みます。
[3][1]で作ったクリーナーをシミに塗付し、綿棒でトントンとやさしくたたきます。
[4]シミ部分を水に浸し、細かくもみ洗いし、水につけてすすぎます。落ち具合を確認しながら[3][4]を繰り返し、最後に洗濯機で丸洗いを。
[5]キレイに落ちました。
毛玉取りにカミソリが使える?!
そこにあるだけで、なんとなく清潔感が失われて見えてしまう、毛玉。
毛玉取りブラシなどでとれない頑固なものは、T字カミソリでやさしくなぞると簡単に取れちゃいます。素材によっては、生地を傷つけたり、穴を開けてしまう場合もあるので、注意して。
中村 祐一(なかむら ゆういち)
国家資格クリーニング師。長野県伊那市のクリーニング店「芳洗舎」の3代目。クリーニングや洗濯の相談・修復を受けるwebサイトを運営。「洗濯王子」の愛称でTVや雑誌・講演など幅広く活躍。著書に『洗濯王子に教わる お家で簡単クリーニング』など。
- ※ 本ページ内に掲載の情報は2016年4月時点のものです。