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諏訪晴美の楽しむベランダ・ガーデニング

フラワー・ガーデニングを眺めながらベランダで朝食を

はじめに

植物のある生活は、心にゆとりを生み出してくれます。

前回は、誰でも手軽に取り入れられるベランダでのハーブ・ガーデニングをご紹介しましたが、今回はそこからさらにステップ・アップ。花のあるベランダづくりと、ベランダハーブを使ったカンタンレシピをご紹介します。

育てた花をのんびり眺めながら、ベランダでヘルシーな朝食を楽しむ。そんなナチュラルな時間を目指してみましょう。

花の咲くベランダをつくりましょう

いきなり花いっぱいのベランダをつくれなくても、高さの違うプランターを少しずつ増やすことで、ベランダの緑がお庭のようにひろがっていきます。まずは好きな花を選んで寄せ植えしてみましょう。ふと目線をやった先に花や緑のある心地よい暮らしが待っています。

MEMO ベランダならでは!「小さな花壇」のつくりかた

複数の鉢を並べたり、寄せ植えしたり……ベランダで複数の花を育てることは「小さな花壇」をつくるようなもの。ちなみに「小さな花壇」を作るためにも押さえておきたいポイントがふたつあります。

ひとつは「高さの違う鉢、プランターを集めること」。大きな鉢を後ろに、小さな鉢を手前に並べることで部屋から見える緑の分量が増えると、植物のある生活をより身近に感じるようになります。低めの台を取り入れながら高低差を出してもいいかもしれません(ただしその際は台から鉢が落下する危険を考慮してください)。

もうひとつは「花の色の系統を統一すること」。たとえば、ピンク&紫系、白&グリーン系、黄色&オレンジ系などでまとめることで、落ちついた雰囲気の明るい花壇を演出できます。

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花の苗を選びましょう

さっそく、寄せ植えにする花を選びましょう。花屋さんで偶然出会った花を集めるのも楽しいですが、ベランダで育てやすい花を意識して集めて「長く付き合う」のも魅力です。ここでは、ベランダで育てるのにオススメの花をいくつかご紹介します。

アネモネ

キンポウゲ科の多年草。開花時期は春。すっと伸びた茎の先に華やかな花を咲かせる、寄せ植えの主役にピッタリの植物です。色も豊富で、品種によって一重のものから八重咲きのものまであります。

パンジー

スミレ科の一年草。秋から初夏にかけて花を咲かせます。本来は多年草ですが、日本の夏に弱く、日本では一年草扱いになっています。
寄せ植えの準主役などに。

カーネーション

ナデシコ科の多年草。春から初夏にかけて咲く花は、花びらを幾重にも重ねた華やかなものです。花が終わったら3/1ほどの高さに刈り込んでおくと新しい芽が出てきます。

花かんざし(アンクロクリニューム)

キク科の多年草。開花時期は春。たくさんの葉が繁る茎の先にコロンとした白い花を咲かせます。素朴な愛らしさが寄せ植えをにぎやかに彩ります。

ヘデラ

カラーリーフ(葉の色を楽しむ植物)のひとつ、『アイビー』の名で知られます。横へ横へとのびるつるが寄せ植えの鉢周りを賑やかにしてくれます。耐寒性、耐暑性ともに高く、丈夫で成長が早いのが特徴です。

ワイヤープランツ

くねくねした細い茎からのびる丸い葉っぱがかわいらしい植物。ヘデラ同様、寒さにも強いので、寄せ植えの脇役などにピッタリです。

花を寄せ植えしてみましょう

花が決まったら、いよいよ植えつけです。花を寄せ植えするときは、最初に仕上がりをイメージしておきましょう。寄せ植えする鉢の中で、ポットに入れたままの苗を配置して、どう並べるか決めてから植え付けをはじめてください。(ポットをはずした後で並び順を考えていると苗が弱ってしまいます)配置が決まったら、さっそく寄せ植えをスタートしましょう。

(必要な材料、鉢の選び方などは前回のコラムを参考にしてください)

寄せ植えの流れ

1)鉢底ネットと石を入れる

鉢底ネットを鉢穴の上に。
(今回は4つのハーブの寄せ植えに対して直径約40cm、深さ30cmほどの鉢を使用)

その上に鉢底石をたっぷり入れます。

2)培養土を入れる

初心者には市販の花用培養土がオススメです。上に苗を並べることを考えながら、適当な量の土を入れてください。

3)苗を植える

それぞれの苗をポットから外し、鉢の中に苗を植えていきます。

苗の株元(茎と根っこの境)の高さがそろうように、根の下や横に土を足しながら、やさしくポンポンと叩いて土を固めていきましょう。

4)土を入れてあげたら完成

すべての苗を植えて、鉢にたっぷり土を入れてあげたら完成。

終わったらすぐ、たっぷりの水をあげてください。

次の花を咲かせるために

できあがった鉢の中で、順に咲いてゆく花を楽しむためには「追肥」と「花がら摘み」という作業が必要です。

追肥は、途中で肥料を足すこと。花の咲きはじめや、開花がひと段落した後などに固形肥料を土の上に置いたり、液体肥料を与えたりします。花によって必要な栄養量が違うので、苗の購入時にあらかじめ確認しておくといいでしょう。

「花がら摘み」は、咲いた後のしぼんだ花をひとつずつ摘みとるというものです。しぼんだ花には種をつくろうとして植物の栄養を集めてしまう働きがあります。つまり、他の花の元気を奪いとってしまうのです。次の花をキレイに咲かせるためにも枯れた花は早めに摘みとりましょう。

摘み取った花は、水を張ったフラワーベースや器に浮かべ、テーブルなどに飾って楽しみましょう。

MEMO 花それぞれの寿命とサイクルを知っておきましょう。

育てていた花を枯らしてしまった……そう思ったときに思い出して欲しいのが花の寿命の話です。

花は、それぞれに寿命や花の咲くサイクルなどが異なります。それらは大きく「一年草」「二年草」「宿根草」と分かれます。

一年草は種をまいたその年に花が咲いて枯れてしまう植物のことです。二年草は種をまいた次の年に花が咲くもの。どちらも花が咲いた後は枯れてしまうのですが、うまく種ができた場合、その種であらためて花を育てることを楽しむことができます。

対して、宿根草は何年にも渡って生き続ける植物です。毎年、決まった季節ごとに花を咲かせては休眠して、活動に向いた季節になるとまた生長します。しかし、多年草と呼ばれる「休眠期でも葉が残るもの」をのぞいては、地上部を枯らして年を越えるので一見寿命のように見えます。

購入時に花のタイプを確認して、どの季節に花を咲かせるのか、枯れて種を残すものか、枯れたように見えるけど生き続けるものか、お店の人に確かめてみるとよいでしょう。

摘み取ったハーブで朝食を

花の咲くベランダができたら、それを眺めながらの朝食はいかがですか?

前回のコラムでハーブの寄せ植えについて、お話させていただきましたが、今度はご自分で育てたハーブを使った朝食とともに、植物のある生活を満喫してみましょう。

1)かんたんハーブサラダ2種

a)ハーブ&リーフサラダ

材料

チャービル、ディル、ベビーリーフ、オリーブオイル、塩、こしょう、レモン汁[以上すべて適量]

つくり方

チャービル、ディルを食べやすい大きさにちぎり、ベビーリーフと混ぜます。オリーブオイルとレモン汁を3:1くらいを目安にブレンドしてサラダにかけます。最後に、塩とこしょうで味をととのえます。

b)ミニトマトのバジルドレッシング添え

材料

ミニトマト、オリーブオイル、にんにく、バジル、塩、こしょう[以上すべて適量]

つくり方

オリーブオイルにすりおろしたにんにくと細かく刻んだバジルを混ぜ合わせ、塩とこしょうで味をととのえます。できあがったソースをミニトマトにかけて、最後にバジルの葉を添えます。

2)スープにイタリアンパセリ

材料

市販のスープ(コーンクリームスープ、かぼちゃスープなど)、好みのハーブ(イタリアンパセリ、パセリ、チャーピルなど)

つくり方

あたためたスープにハーブ少々を浮かべて完成です。ハーブの香り&見た目がいつものスープをワンランク上に見せてくれます。

3)フレッシュジュースのミント添え

材料

フレッシュジュース(オレンジジュース、グレープフルーツジュースなど)、好みのミント

つくり方

グラスに好みのミントを入れ、フレッシュジュースを注ぎます。ミントの種類、量はお好みで。ミントの葉をあらかじめ軽く叩いておくと香りが一層ひきたちます。香りはミントの量でも変わりますが、ミントの種類(アップルミント、ペパーミントなど)によっても大きく変わります。ぜひ違いを楽しんでみてください。

終わりに

ベランダ・ガーデニング、いかがだったでしょうか。

植物を育てることは一見難しいことに思えますが、土選びや水やりなどの基本、そして植物の個性を知ればグッとラクになります。まずは気負わずに実践してみてください。

ハーブや花の魅力、何より植物のある生活の楽しさを心と体で感じてもらえるはずです。

植物が身近にある暮らしは、自分を幸せにしてくれることをいつも実感しています。植物が私にくれるもの。それは優しい気持ちで、自然を愛する気持ちになるのかなって。

諏訪 晴美(すわ はるみ)

プラントデザイナー。'00年町田ひろ子アカデミーガーデニングプランナー科卒業。同年NY州Manhattanville Collegeに留学。'02年成城大学経済学部経営学科卒業。'06年より(株)木楽舎月刊ソトコト勤務。同年榊原八朗氏に師事。'07年6月 plant design office Atelier Yukiyanagi(アトリエ ユキヤナギ)設立。「料理を『美味しい』と感じる瞬間のような感動を植物で演出する」をテーマに活動中。

  • 本ページ内に掲載の情報は2012年5月時点のものです。