Brillia くらしのコラム

気持ちのいい暮らしのつくりかた

「捨てるための技術」を身につけよう!

いよいよ師走です。大掃除のタイミングに部屋の片づけをする人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、片づけに必須のスキルである「捨てる」にクローズアップ。
なかなか捨てられない…とお困りの人に、ラクに捨てるためのテクニックをお伝えします。

捨てる作業には勇気とエネルギーが必要!

モノを捨てる作業、なかなかヤル気になれませんよね。モノに向き合って、要る?要らない?と葛藤するよりも、何もせずに溜め込んでしまうほうがラクだからです。じつは「買う」ことよりも「捨てる」ことのほうがエネルギーが必要。部屋を片づけたいならば、勇気を出して捨てるしかないのです。
これからお伝えするのは、生活哲学家・辰巳渚さん主宰の『家事塾』にて学んだ「捨てる」ためのテクニックです。この考え方を知って、私は随分とラクに作業に取りかかれるようになり、捨てられるようにもなりました。
具体的には、「捨てるためのステップ」という図表で何をすべきかを把握し、「捨てるための11カ条」を指針にぼんやりと抱いていた感情をハッキリさせ、モノの要・不要を判断していきます。どちらも今まで無意識でやっていたことを意識してできるよう形にしたものです。作業を進めるにあたって頭の整理に役立ちますので、ぜひ活用してください。

ステップを踏んでモノを仕分け、「捨てる」へ

左は「捨てるためのステップ」という図表です。片づけの基本手順は「全部出し」→「仕分け」→「しまう」or「捨てる」ですが、そのうちの「仕分け」に注目したものです。ステップに従って、「全部出し」したモノを仕分けていきましょう。
まず初めに、モノがモノとしての役割を果たせているかに着目して「使える」「使えない」に仕分けます。持ち手が取れた鍋、穴の開いた靴、書けないマジックは「使えない」から「捨てる」行きですね。このステップは感情は関係なく物理的に判断すればいいので、捨てやすいはずです。使えないけれど直してでも使いたい!というモノがあれば、すぐに直して使ってください。
次のステップは「使える」と判断したモノの仕分けです。なくては困る日々使っているモノは、迷いなく「使う」→「しまう」行きに。きっぱり「使わない」と決めたモノは、「捨てる」に直行です。ここまではスムーズにできると思います。

「わからない」のは使っていない証拠

問題は、すぐに決められない=「わからない」モノたちです。作業を苦痛に感じるのは、まさにココ!です。モノと向き合うのがだんだん面倒になってきて判断を先延ばしにし、とりあえず「使う」ことにして「しまう」へ納めてしまうのが、よくあるNGパターン(涙)。これではモノは減りません。「わからない」モノをなるべく「捨てる」方向へと追いやることが、片づけの最も大事なポイントです。そのことを意識して仕分けていく必要があります。
ところで、持っているモノが使うのか使わないのか分からないのはなぜでしょう? それはズバリ、使っていないから。使っていないということは、なくても大丈夫ということです。つまり、分からないと思った時点で捨ててしまっても、じつは問題ないのです。

これで捨てられる!「捨てるための11カ条」

片づけるためには、積極的に捨てようとする心がけが必要です。そのために役立つ「捨てるための11カ条」をご紹介します。

1.「とりあえず取っておく」は禁句
2.「仮に」はだめ、「今」決める
3.「いつか」なんて来ない
4.他人の「とっても便利」は私の「じゃま」(自分基準で考えよう)
5.「聖域」を作らない(食品は捨てない、仕事の資料は全部保管などと、例外を設けない)
6.持っている物はどんどん使う(モノは使うことで生き生きする)
7.収納法・整理法で解決しようとしない
8.「これは捨てられるのでは」と考えてみる
9.「しまった!」を恐れない
10.完璧を目指さない(できる範囲でラクに実行しよう)
11.「もったいない」で封印しない
©️家事塾 

捨てるのは、今を心地よく生きるため

少し物の見方を変え、この11の考え方の共感できる部分だけでも採り入れると、モノに囚われるしんどさから解放されてラクになれます。捨てられないのは過去へのこだわり、未来への不安が大きい証拠。今を大切に生きるのに何が必要かを考えると、自ずと「使う」モノは見えてきます。モノをもつことで不安を解消するよりも今を心地よく暮らすことを大切に、潔く捨てましょう。
ただし、「好き」なモノは例外。使わなくても自分の心の潤いになるようなモノは捨てなくてOKです。この場合は「好きだからとっておく!」と、意識して決めることが大事です。
ここまで「捨てる」を考えてきましたが、その重労働っぷりに改めて驚きます。100円ショップで買ったモノの処分にエネルギーを使うことだってあるのです。そうなると逆に、「買う」「持つ」ことを慎重にしたいですね。今の自分に必要か、長く大切にできるか、などを意識した買い方を心がけたいものです。

気持ちよく、ラクに捨てられるのが理想

モノを使い切って捨てる時、残念だなぁと思うと同時に今までありがとうという気持ちにもなりますよね。感謝して捨てる、これが理想です。そのためにも11カ条の6.の「持っている物はどんどん使う」を実践しましょう。
まだ使えるモノは譲ったり、売ったり、寄付したりすることもできます。私もさまざまな方法を試しましたが、今はフリマアプリを活用。梱包用資材を常備し、暇を見つけては出品、売れたらすぐに梱包して発送。この作業が習慣化したので面倒に感じることもなく、ラクに気持ちよく手放せています。定期的に近所のリサイクル店に持っていく、自治体のリサイクル品回収を利用するなど、自分なりの手放し方を決めておくのがおすすめです。
なんとなくやっていた「捨てる」作業を、お伝えしてきたように意識しつつ進めると、手を動かすスピードは速くなります。繰り返し作業しテクニックが定着すると、身の回りが格段にスッキリしはじめますよ。

撮影・文/石野祐子(Forest inc.

フリーランスエディター・ライター。家事セラピストユニット「いえはな」主宰。海外ウエディング誌、女性情報誌、ファッション誌、インテリア誌などの編集を経てフリーに。料理やインテリア、育児、健康など、女性の暮らしにまつわるジャンルにて執筆。また、文筆家&生活哲学家・辰巳渚主宰の『家事塾』にて学び、1級家事セラピストの資格を取得。2016年より自宅教室「いえはな」を主宰し、すっきり暮らす片づけの考え方や、日々の家事をラクに気持ちよく回すための秘訣を伝えている。

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