気持ちのいい暮らしのつくりかた
今年も残すところ数週間。「大掃除、しないとなぁ」と、少しずつ気が重くなってきていませんか?
じつは、年末の大掃除は体力も気力も消耗するので避けたほうが無難。
その代わりに、新しい年を迎えるにあたってやっておきたい3つのことをご紹介します。
そもそも冬に大掃除をするのは非効率!
「大掃除」と聞くと、換気扇やエアコン、窓ガラスや網戸など、普段はあまり掃除をしない、汚れやホコリが溜まっている場所をキレイに掃除すること...のように思いがちです。でも、寒い冬は油分などを含んだ汚れなどは冷え固まっているため、なかなか落としにくいのが現実。それに冬場の掃除は手荒れもしやすくて辛いですよね。そもそも寒い季節は掃除に不向きなんです。
欧米では大掃除を冬ではなく、「スプリング・クリーニング」といって、春にする習慣があるそうですよ。暖かくなってからのほうが汚れも緩んで落としやすく、掃除もラクにできます。ポカポカ陽気の春先の休日にでも、家族に手伝ってもらいながらやりましょう。
「年神様」をお迎えする準備をしましょう
では、年末は何もしなくてもいいのかというと、そうではありません。昔から日本人が「すす払い」と呼ばれる大掃除をしてきたのは、お正月に「年神様」(としがみさま)をお迎えするためでした。元日にやってきて、家々に新年の幸せをもたらすといわれる年神様。この新年の神様を家にお招きする準備をしましょう。
まずは「お飾り」を用意して、年神様を迎える玄関まわりを整えます。玄関の棚の上のホコリをひと拭きする、床をサッと掃く、靴をそろえるなど、簡単で構いません。
門の前などに飾る門松は、年神様を家に招き入れるための目印。玄関にしめ縄やしめ飾りをつけるのは、外の邪気が家の中に入ってくるのを防ぐという意味があります。
普段よりも少しだけ丁寧に掃除を
次に用意したいのが、「鏡餅」です。お供え物になるのと同時に、お迎えした年神様の居場所にもなります。これを依り代(よりしろ)といいます。鏡餅のほかに、お正月花も依り代になります。神様が宿る依り代なので、置く場所を決めたら、その周辺をサッとひと拭きするだけでもいいのでキレイにしましょう。
最後に、年神様に心地よく過ごしてもらうために最低限確認しておきたいのが、「水廻り」と「光る場所」です。キッチンやお風呂、トイレなどの水廻りを普段より丁寧に掃除する、鏡や蛇口などの光る部分を磨くなど、ほんの少しの作業でも空間は気持ちよくなります。
自らに課していた大掃除という呪縛を解いて、自分なりのキレイの落としどころを見極めて、焦らず、疲れず、新しい年を迎えたいですね。
撮影・文/石野祐子(Forest inc.)
フリーランスエディター・ライター。家事セラピストユニット「いえはな」主宰。海外ウエディング誌、女性情報誌、ファッション誌、インテリア誌などの編集を経てフリーに。料理やインテリア、育児、健康など、女性の暮らしにまつわるジャンルにて執筆。また、文筆家&生活哲学家・辰巳渚主宰の『家事塾』にて学び、1級家事セラピストの資格を取得。2016年より自宅教室「いえはな」を主宰し、すっきり暮らす片づけの考え方や、日々の家事をラクに気持ちよく回すための秘訣を伝えている。