Brillia くらしのコラム

気持ちのいい暮らしのつくりかた

ご近所とのお付き合い、どうしてる?

同じマンションに住んでいる人との交流はありますか?
お付き合いの考え方はさまざまですが、お互いに気持ちよく暮らせる関係をもてるのが理想ですね。
そのためにはどんなことを心がければいいのか、私の経験を踏まえて考えてみたいと思います。

とても快適だった古いマンション暮らし

私は2年前まで築40数年の古いマンションに15年間住んでいました。引っ越し前に何度か見に行った時に感じたのが、顔を合わせる人がみんな挨拶をしてくれて気持ちがいいなぁということ。そして建物は古いながらも修繕や手入れがきちんとされ、掃除も隅々まで行き届き、キレイだなぁということ。ここは暮らしやすいに違いない!と確信して入居しました。
住み始めてしばらくして、ポストにA4サイズの新聞が毎月入ることに気づきました。「こんな苦情が寄せられました」「木の消毒をします」「蜂の巣に気をつけてください」など、マンションの管理組合の理事会で話された内容が書かれていて、マンションの様子を知るのに役立ちました。理事会が毎月開催され、住人のなかの誰かのおかげで快適な暮らしが保たれていることを知ったのも、この新聞のおかげでした。
おそらく私が住んでいたマンションのコミュニティはとてもうまく機能していたんだと思います。

良好な人間関係に仲間入りさせてもらった

偶然にも入居時、お隣さんが管理組合の理事長でした。マンションのルールや分からないことなどを親切に教えてもらい、お隣さんを通して顔見知りも増え、我が家もゆっくりとマンションの緩やかなコミュニティに迎え入れてもらいました。
そう言えばこんなエピソードも。台風の風雨のなか私が長女を保育園に送るため、生後2カ月の長男を10分だけ預かってもらえないかとお隣さんにメールで問い合わせたところ、「私はこれから出かけてしまうから206号室に行って! もう連絡して頼んでおいたから」という返事が。言われた通り206号室をピンポンすると、「はい、聞いていますよ。お預かりしますよー」と(笑)。素晴らしい連携プレーに驚きましたが、ご近所付き合いのありがたさを感じました。そして私も同じようにお手伝いできることがあれば進んでしよう、と自然に思ったのでした。

声をかけ合える関係があれば非常時も安心

マンション内での挨拶も、エレベーターで先に乗り込んだ人が後から乗ってきた人に「何階ですか?」と聞いてボタンを押す動作も、大人はもちろん子どももみんな当たり前のようにやっていて、気づくとウチの子どもたちもできていました。無意識にこういう習慣が身につくのはマンション暮らしならではだと思います。
また年配の方はよく、「今日はいいお天気ね」などと話しかけてこられるものですが、それに軽く受け答えするだけでこちらもなんだか幸せな気分になり、お互いに気持ちよく暮らせるんだなぁということも学びました。ちょっとした会話、大切にしたいですね。
お付き合いの必要性を最も感じたのは、やはり災害時。東日本大震災の時もマンションで火事が起こった時も、ご近所さんとの助け合いや情報交換がどれだけ不安を和らげてくれたことか。災害時に声がけし合える関係は絶対にもっておくべきだと思います。

役員をすることでマンションへの愛着が増す

ほとんどのマンションで順番に回ってくるのが管理組合の役員。我が家も2度やりました。理事会には夫が出席していたのですが、マンション内での騒音トラブルのこと、修繕積立金のこと、共用部分の窓枠のデザインの候補選定などなど、重要な議題を取り扱うことに驚きました。普段とは違う視点からマンションについて考えさせられることも新鮮でした。役員になったおかげで知り合いが増えてマンションへの愛着が増し、住み心地もさらによくなった気がしました。順番がきたら迷わず引き受けることをおすすめします。
振り返って考えると、ご近所さんとは顔が分かって挨拶を交わす間柄になっておけば、ひとまずそれでいいのではないかと思います。何かあった時に助け合える「ほどよい関係」があれば安心です。そして笑顔で挨拶! じつはこれこそがお互いに気持ちよく暮らすための秘訣なのではと感じています。

撮影・文/石野祐子(Forest inc.

フリーランスエディター・ライター。家事セラピストユニット「いえはな」主宰。海外ウエディング誌、女性情報誌、ファッション誌、インテリア誌などの編集を経てフリーに。料理やインテリア、育児、健康など、女性の暮らしにまつわるジャンルにて執筆。また、文筆家&生活哲学家・辰巳渚主宰の『家事塾』にて学び、1級家事セラピストの資格を取得。2016年より自宅教室「いえはな」を主宰し、すっきり暮らす片づけの考え方や、日々の家事をラクに気持ちよく回すための秘訣を伝えている。

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