Brillia くらしのコラム

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意外と知らない調味料「みりん」の魅力

煮物などを作る時、調味料を入れる順番の「さしすせそ」を知っていますか?
「さ」は砂糖or酒、「し」は塩、「す」は酢、「せ」はせうゆ=しょうゆ、「そ」は味噌、が正解です。
では、「みりん」はどのタイミングに入れればいいのでしょうか?

購入時は原材料の表示をチェックして

じつは「みりん」には3種類あるのですが、もち米、米麹、焼酎(もしくは醸造アルコール)を原材料に、伝統製法で作られているのが「本みりん」です。本みりんは14%程度のアルコールを含む酒類のため、お店によってはお酒コーナーに置いてある場合もあります。
ほかに、ブドウ糖や水あめなどの糖類に、米、米麹、酸味料や調味料などをブレンドし、アルコールを1%未満に抑えた「みりん風調味料」、米、米麹、糖類にアルコールを加えて発酵させ、食塩を加えた「発酵調味料(みりんタイプ)」もあります。どちらも酒類として扱われないようにしてあり、本みりんとは製法や成分、味わいも異なります。また、価格も酒税がかかる本みりんよりも安めです。お店でみりんを選ぶ時は、まずは表示を確認しましょう。

同じ「本みりん」でも2タイプある

アルコールと糖が含まれている本みりんは、基本的には長期常温保存が可能です。発酵調味料もアルコール度数が高めなので常温でOK。みりん風調味料はアルコール分が少なく保存性が低いため冷蔵で保存し、早めに使い切るようにしましょう。
3種あるみりんのなかで私がおすすめするのは、蒸したもち米、米麹、焼酎を長期間じっくりと糖化・熟成させて作る本みりんです。余分な糖類や食塩が添加されず、自然な甘味とコクのあるうま味が美味。試しに少し舐めてみるとよく分かります。
本みりんのうち短時間に醸造したものは「白みりん」、長期熟成させた琥珀色のものは「赤みりん」と呼ばれます。白みりんはサラリとした上品な甘味とクセのない香りが特徴で、主張が控えめなので料理全般に合わせやすい調味料です。赤みりんは濃厚なコクと甘味、芳醇な香りがあり、味に深みを出したい時向き。使い分けができれば、みりん上級者ですね。

「みりん」がもたらす、うれしい調理効果

ここで冒頭の質問「みりんはいつ入れる?」ですが、本みりんの場合、答えは「いちばん最初!」です。アルコールが含まれる本みりんには、煮崩れを防ぎ、生臭さを消してくれる働きがあるからです。また、素材への味の染み込みをよくしてくれる、食材のうま味成分を閉じ込めて外に逃さないという効果も。さらに、料理に照りやツヤも出してくれます。
みりん風調味料も本みりん同様に糖度が高いので、照りやツヤを出したい時には使えますが、臭み消しなどその他の効果はありません。また、発酵調味料はアルコール度数が10〜14%程度あるので、臭み防止や煮崩れ防止には使えますが、塩分が強いため味付け時には塩分濃度の調整が必要になります。

使えば必ず美味しく仕上がる魔法の調味料

本みりんと砂糖との大きな違いは、甘さの質が異なるところです。ショ糖が主な成分で強い甘味のある砂糖と比べ、オリゴ糖など多種類の糖から形成される本みりんは、マイルドで品のある甘さ、深いコクのある美味しさが特徴です。試しに、本みりんを使って大学イモを作ってみたのですが(本みりん100ml、しょうゆ大さじ1をフライパンで煮詰め、オーブンで焼いたサツマイモを入れて絡め、黒ごまを振る)、砂糖よりも上品でまろやかな味に仕上がりました。
調理の時に、本みりんの代わりに砂糖と日本酒を組み合わせて使ってもいいのですが、煮崩れ防止や臭み消し、ツヤ出しなどの調理効果は期待できません。うま味に違いも出てくるので、料理を美味しくしたいのならやっぱり本みりんです。少しお値段は高めになりますが、料理の腕を確実にワンランクアップさせてくれます。

撮影・文/石野祐子(Forest inc.

フリーランスエディター・ライター。家事セラピストユニット「いえはな」主宰。海外ウエディング誌、女性情報誌、ファッション誌、インテリア誌などの編集を経てフリーに。料理やインテリア、育児、健康など、女性の暮らしにまつわるジャンルにて執筆。また、文筆家&生活哲学家・辰巳渚主宰の『家事塾』にて学び、1級家事セラピストの資格を取得。2016年より自宅教室「いえはな」を主宰し、すっきり暮らす片づけの考え方や、日々の家事をラクに気持ちよく回すための秘訣を伝えている。

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