気持ちのいい暮らしのつくりかた
調理中に捨ててしまう野菜くずや卵の殻、ゆで汁などが、キッチン掃除に使えるって知っていますか?
今月のコラムは、無駄なく食材を使い切りつつキレイにもできる! そんなお掃除テクをお伝えします。
捨てる前に「ついで」にできる程度の手軽さなので、無理なく続けられますよ。
卵の殻は研磨剤代わりに使える!
キッチンに頻繁に登場する栄養たっぷりの優秀食材、卵。パカッと割った後に殻はポイッと捨てることが多いのですが、じつはまだ活用できるんです。生卵、ゆで卵、どちらの殻でもOK。使用方法は茶渋や水アカなどがついたコップや容器の洗浄です。
写真上のように卵の殻を細かく砕いてコップに入れ、少量の水を含ませたスポンジでゴシゴシ磨けば、汚れがとれてピカピカになりますよ。漂白剤を使ってもいいのですが、わざわざ漬け置きするのも面倒なので、私は卵の殻が出たらその都度コップを磨くようにしています。もちろん殻を保存容器に入れて保管し、余裕のある時に磨いてもいいですね。
写真下のような口の小さな水筒や瓶など、底や中を洗うのが大変なものも、細かく砕いた卵の殻に少量の水を加えてフタをし、シャカシャカとよく振れば、ヌメリもとれてキレイになります。
キッチン掃除に大活躍する柑橘類の皮
オレンジやレモン、みかんなどの柑橘類には、クエン酸、リモネン、ペクチンという成分が含まれています。「クエン酸」は酸性なので、水アカや石けんなどのアルカリ性の汚れを中和して落としてくれるとともに、殺菌や消臭効果もあります。「リモネン」はアロマテラピーにも利用される柑橘類独特の爽やかな精油成分で、外皮に多く含まれ、油汚れに高い効果を発揮。「ペクチン」は皮の内側の白い部分や筋に含まれており、コーティング作用やツヤ出し効果があります。
これらの成分をフル活用できるのが、電子レンジ掃除です。耐熱皿にオレンジなど1個分の皮をのせて500Wで2分ほどチンすると、オレンジの蒸気がレンジ内に充満し、汚れが落としやすくなります。もちろんいい香りも漂って、さらに消臭&除菌効果も。その後はフキンで水気をしっかり拭き取れば、さっぱりキレイに。柑橘類を食べるたびに皮をチンして掃除して、レンジを清潔に保ちましょう。
オレンジやじゃがいもの皮でシンクを磨く
放置していたらすぐに汚れが目立ってくるシンクまわり、こまめに掃除したいですよね。わざわざスポンジを取り出して磨くまでもなく、果物や野菜の皮が出た時に、ついでに磨いてしまうとラクですよ。
おすすめは先ほどの柑橘類の皮。写真上のように内側の白い部分でシンクや水道の蛇口などを磨くと、クエン酸の効果で水アカを取り除くことができ、キレイになります。爽やかな香りも相まって気分もスッキリしますよ。
もうひとつシンク磨きに適しているのが、じゃがいもの皮です(写真下)。じゃがいもには「サポニン」という天然の界面活性剤、つまり石けん成分が含まれており、皮の内側を下にしてやさしく磨くと驚くほどキレイになります。皮脂や水アカも落としてくれるので、水栓金具やガラスのコップなどを磨いてもピカピカに。お料理に登場する頻度も高いじゃがいも、皮までしっかり活用したいですね。
麺類のゆで汁は捨てずにとっておくと便利
今日のお昼ごはん、我が家はパスタでした。ベーコンを使ったパスタだったので、もちろん食べ終わった後のお皿は油でギトギト。これを食器用洗剤で洗うのはひと苦労ですが、ゆで汁を使うと洗剤ナシでキレイになるんです!
これはパスタやうどん、蕎麦などのゆで汁に、汚れを吸着してくれる「でんぷん質」や、先ほど登場した天然の界面活性剤「サポニン」が含まれているからです。食後のお皿にゆで汁をかけてスポンジで普通に洗えば、しつこい油もウソのように落ちて、キュッキュッと音が鳴るくらいツルツルになります。ちょっとした感動モノですから、ぜひ試してみてください。
キッチンは食べ物を扱う場所なので、なるべく洗剤や漂白剤を使わずにキレイを保ちたいものです。ご紹介したお掃除法は天然由来の成分を利用したものばかり。しかもお金もかかりません。手にも、お財布にも、環境にもやさしいエコ掃除、ぜひ取り入れてみてくださいね。
撮影・文/石野祐子(Forest inc.)
フリーランスエディター・ライター。家事セラピストユニット「いえはな」主宰。海外ウエディング誌、女性情報誌、ファッション誌、インテリア誌などの編集を経てフリーに。料理やインテリア、育児、健康など、女性の暮らしにまつわるジャンルにて執筆。また、文筆家&生活哲学家・辰巳渚主宰の『家事塾』にて学び、1級家事セラピストの資格を取得。2016年より自宅教室「いえはな」を主宰し、すっきり暮らす片づけの考え方や、日々の家事をラクに気持ちよく回すための秘訣を伝えている。