Brillia くらしのコラム

気持ちのいい暮らしのつくりかた

家族みんなで「家事」を楽しもう!

主婦がする仕事、無償労働、繰り返しの単純作業、エンドレス...。
このようにマイナスイメージが強い「家事」ですが、いい側面もいっぱいあるんですよ!
『家事塾』にて家事の奥深さを学んだ私が、その魅力をお伝えします。

家事は「手段」という考え方をやめる

家事をやっても当たり前で、褒めてもらえないし、お金がもらえるわけじゃない。面倒だからできればやりたくないし、とにかく時短がいい。これが現代の家事に対する一般的な考えではないでしょうか。家事よりもほかにレベルの高い大切な目的があって、その目的を達成するための「手段」として家事をする、という視点です。でも、本当にそれでいいのでしょうか?
ちょっと理屈っぽくなりますが、私が学んだ『家事塾』では、家事は手段ではなく、家事という行為そのものを「目的」と考えます。ほかの行為とのレベルの違いはなく、自分がよりよく生きるためにする仕事、と捉えるのです。
単なる「手段」と考えると、毎日繰り返される単調な労働、あるいは奉仕作業のように感じてしまう家事ですが、家事自体をひとつの仕事と捉え直してみると、ポジティブな見方ができるようになります。

家事は「家族のため」にするのではない

さらに、もうひとつ考えてみましょう。家事は何のためにするのでしょうか? 多くの人は「家族のため」と答えると思うのですが、ならば、ひとり暮らしなら家事はしなくてもいいのでしょうか? 自炊は家事ではないのでしょうか?
そうではありませんよね。意外に感じるかもしれませんが、家事は「自分のため」にするのです。人の役に立つ喜びも含めて、誰もがいつでも自分のためにする仕事。つまり、生きることそのものとも言えるのです。
このように考えていくと、家事ってなんだかすごい!と感じませんか? デメリットばかりが多く語られがちですが、いい面だってたくさんありますし、実際に私たちに多くのメリットをもたらしてくれます。

家事で得られる達成感が自信をもたらす

私が家事のよさを感じるのは、やればやっただけのことが返ってくるところです。雑巾で拭けば床はキレイになるし、食べ終えた食器を洗うとピカピカに、丁寧に出汁をとるとお味噌汁は美味しくなります。努力したのに試験に落ちた、モノはいいのに売れなかった、ライバルのほうが上手にやった、などということが起きてしまう学校や仕事とは違って、家事は達成感や満足感が確実に得られます。ちゃんとやったのに甲斐がない、ということがないのです。
また、家事をしていると、どうすれば、あるいはどうなれば自分は満足なのかが分かってきます。自分らしさやこだわりを発見、確認もできます。これからの自分の生活をどういう方向にコントロールしていこうかと、あれこれ思索する時間も増えます。家事を通して、他人とは違う「私」が確立され、「自分はちゃんとやっている」という自信が持てるようにもなる。不安定な今の時代だからこそ、家事は大事なのです。

家事をすることで安心できる居場所ができる

大切な人に尽くす喜び、大切な人の喜びを見る喜び、を味わえるのも、家事のいいところ。お手伝いもその一例です。子どもは「お母さんが喜んでくれるから」お手伝いをするのではなく、「お母さんが喜んでくれるのが“うれしい”から」お手伝いをします(お母さんのためにするのではなく、自分のためにするのです)。人が幸せになると自分も幸せ!という気持ちを日々の家事から感じられるのは、素晴らしいことですよね。そしてこのような経験を通して、大切な人と自分との関係性が築かれるのだと思います。
同時に、自分は人の役に立てるんだという実感は、私は生きていていいんだという自己肯定感や自信につながります。さらに家族のなかで何らかの仕事や役割を持つことは、私のいる場所はここだという安心感も生み出します。仕事ばかりしている夫が家に居場所がないと感じるのは、家事をしないことが一因なのかもしれませんね。

家事が私たちを元気にしてくれる!

なんとなくモヤモヤする時、私は家じゅうを掃除して気分をスッキリさせます。草むしりをすると気持ちが落ち着いたり、集中して鍋を磨くとイライラが解消したり。そんな経験、ありますよね? このように家事には精神的、身体的なバランスを回復させてくれる力もあります。頭で考えるよりも身体や手を動かして家事をすることは、五感を通して私たちにいい効果をもたらすのです。「片づいた(視覚)→スッキリ」「ホコリのザラザラを一掃(触覚)→満足」「洗濯物のいい匂い(嗅覚)→幸せ」など、「これが“幸せ”というものか」といった実感も得られるのではないでしょうか。
掃除をすることで家に愛着を持てたり、一緒に料理をすることで家族だなぁとしみじみ感じたりと、家事にはいいところがまだまだあります。家事をすることこそが楽しく豊かな生き方、人生につながるような気もします。家族みんなでポジティブに、楽しみながら家事をしたいですね!

撮影・文/石野祐子(Forest inc.

フリーランスエディター・ライター。家事セラピストユニット「いえはな」主宰。海外ウエディング誌、女性情報誌、ファッション誌、インテリア誌などの編集を経てフリーに。料理やインテリア、育児、健康など、女性の暮らしにまつわるジャンルにて執筆。また、文筆家&生活哲学家・辰巳渚主宰の『家事塾』にて学び、1級家事セラピストの資格を取得。2016年より自宅教室「いえはな」を主宰し、すっきり暮らす片づけの考え方や、日々の家事をラクに気持ちよく回すための秘訣を伝えている。

このページの先頭へ戻る