Brillia くらしのコラム

気持ちのいい暮らしのつくりかた

「すっきりした部屋」「すっきりした暮らし」と聞くと、モノが少なく、片づいた部屋を思い浮かべがち。
でもじつはそれ、間違ったイメージなんです!
そこで今回のコラムでは「すっきり!」の正体を一緒に探り、本当に心地いい暮らしについて考えます。

生活しているから、モノが出ているのは当然

雑誌に載っている素敵な部屋やハウスメーカーのモデルルームの写真を見て、モノが出ていない、きちんと整えられた空間に憧れを抱く人は多いと思います。でも、ちょっと考えてみてください。インテリア写真の「モノが出ていない」というのは、美しく見せるために整えられた、静止した状態です。いっぽうで実際の暮らしは、モノを使うことで成り立っていて、常に動いています。「モノが出ている」というのは、一見散らかっているように見えますが、じつは当たり前のこと。逆に完璧に片づいた状態が続くことは、人が生活をしていないのと同じです。
子どもがおもちゃを散らかして遊んでいる時がNGで、箱にきちんと片づけられている時がOKではないはず。おもちゃが出ているのは子どもが元気に遊んでいる証拠です。大切なのは、いつもすっきり片づいたモデルルームのような家で生活することではなく、モノとともに心地よく暮らすことなんです。

モノが滞りなく循環していると、心地いい!

こちらはモノの流れから暮らしを見た『暮らしの環(わ)』(©家事塾)という図です。これを見ると、モノは私たちの日々の営みのなかで「使う」と「戻す」作業によってグルグルと回り、同時に「買う」ことで外から入り、「捨てる」ことで出ることを続けています。このようにモノは常に循環し、暮らしは生きて動いています。
「すっきり!」と聞くと、この図にある「しまう場」、つまり収納スペースを思い浮かべがちですが、ここでちょっと想像してみましょう。モノが「しまう場」から取り出されて「使う場」でしっかり使われ、また「しまう場」に戻されていく...。このモノの流れがよどみなく回っていることに、私たちは「すっきりしていて気持ちがいいなぁ」と感じるのではないでしょうか。つまり「すっきり!」の正体は、モノが暮らしのなかで滞ることなく循環していること。『暮らしの環』がスムーズに回れば、すっきり心地よく暮らすことができます。

環がスムーズに回っているかを意識して

取り出して使ったモノを元の場所に戻せば環は回り続け、心地よさをキープできます。けれども、私たちは「元に戻す」作業がどうも苦手なんですね(涙)。だから「使う場」にモノが溜まってしまって流れが悪くなるのです。
苦手な元に戻す作業をなるべくラクにするためには、3つの原則があります。①元に戻すために「定位置」を作ること。②自分が回せる「定量」を使うこと。③「捨てる」こと。とくに最後の捨てることですが、新しくモノが入ってくるぶん、外にモノを出さなくてはなりません。「捨てる」は「暮らしを回すエンジン」と考え、使えるけれど使わないモノを意識して追い出すことが必要です。
家のなかで滞っている場所があれば、これらの原則に従って原因を取り除き、環がスムーズに回るように心がけましょう。モノがいかに整っているかにとらわれないで、いかに滞りなくモノが流れているかを考えれば、すっきりした暮らしは実現します。

撮影・文/石野祐子(Forest inc.

フリーランスエディター・ライター。家事セラピストユニット「いえはな」主宰。海外ウエディング誌、女性情報誌、ファッション誌、インテリア誌などの編集を経てフリーに。料理やインテリア、育児、健康など、女性の暮らしにまつわるジャンルにて執筆。また、文筆家&生活哲学家・辰巳渚主宰の『家事塾』にて学び、1級家事セラピストの資格を取得。2016年より自宅教室「いえはな」を主宰し、すっきり暮らす片づけの考え方や、日々の家事をラクに気持ちよく回すための秘訣を伝えている。

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