Brillia くらしのコラム

気持ちのいい暮らしのつくりかた

コンポストでサスティナブルな暮らし

コンポストとは、生ゴミや落ち葉などを微生物の力で分解させて作る堆肥のこと。
栄養豊富なので家庭菜園や花の栽培などに使え、生ゴミを捨てない循環型の暮らしができるのも魅力です。
我が家も昨年からコンポスト生活を始めましたが、おすすめですよ!

まずはコンポストを作るための容器を選ぶ

コンポストを作るにはコンポスター(容器)が必要です。庭やベランダに設置するタイプや地中に埋めて使うもの、室内でも使用できる密閉式や電動式、ダンボールを活用したものなど、いくつかの種類から選べます。
我が家は住んでいる自治体推奨の設置式にしたのですが、8割も助成があったので3,000円で購入できました。さらに、夫が役所のごみ減量推進課へコンポスターを注文に行った際には丁寧に使い方の説明をしてもらえ、生ゴミと混ぜる腐葉土まで無料でもらって帰ってきました。生ゴミの減量化・資源化はどの地域も抱えている課題だけあって、積極的にサポートしてもらえるようですね。まずはお住まいの自治体のHPなどをチェックしてみてはいかがでしょうか。
後日、届いたコンポスターに腐葉土を入れ、生ゴミの分解が進みやすいよう日当たりと風通しのいい場所に設置して、昨年6月、我が家のコンポスト生活はスタートしました。

生ゴミをコンポスターに投入し、よく混ぜる

コンポスターに入れるのはキッチンで出る生ゴミです。大きめの野菜くずや果物の皮などは分解されにくいため、小さく切ってから入れます。肉や魚の骨、貝殻、カニやエビの殻、玉ねぎやニンニクの皮、卵の殻、とうもろこしの芯などは、分解処理に時間がかかるそうなので避けています。
また、家庭用精米機を使っているのですが、精米すると出る「米ぬか」は発酵促進剤になるので捨てずにとっておき、1週間に1度くらいの頻度で投入しています。これまで米ぬかもぬか床に使うぶん以外は捨てていたので、いろいろ無駄がなくて助かっています。
コンポスターに生ゴミや米ぬかを入れた後は、スコップで底までよくかき混ぜて空気を入れます。この作業を毎日ただひたすら繰り返すのですが、色鮮やかだった生ゴミが次第に茶色くなり、知らない間に土っぽく変化している様子は不思議というか、なんとも興味深いものがあります。

暑さ寒さによって分解のスピードは異なる

季節によってコンポスター内の様子は変化します。寒い時期は発酵・分解の進みは遅く、梅雨時は水っぽくベタベタした感じに。昨年の冬場はいつまで経っても生ゴミが原形を留めたままだったので、生ゴミ投入を停止して分解を待ったりもしました(写真上)。
いっぽう暖かくなってくると微生物の動きも活発化し、混ぜていると土がホカホカとぬくもりをもっているのが分かるほどに。これは発酵によって熱が出ているからなんですね。3〜5月頃が虫もわかず分解もほどよく進む、調子のいい時期のように思います。
コンポスター内の容量が6分目程度にまで増えたら熟成袋に移し替え、ときどき混ぜたり水分を加えたりしながら保管します。夏場は1〜2カ月、冬場は3カ月ほど袋内で完全に分解されるのを待って、堆肥のできあがりです(写真下)。我が家はコンポスター付属の不織布製の熟成袋を使っていますが、熟成させる道具や方法にもいくつか種類があるようです。

どうしても気になる、虫のこと、臭いのこと

避けて通れないのは虫です。漏れなく我が家にもやって来ました(涙)。夏にはコバエが発生したため慌てて防虫カバーを購入してコンポスターを覆い、こまめに追い払っているうちになんとか収束。ホッとしていたのも束の間、初秋にはアメリカミズアブの幼虫が! ただ、この幼虫のほとんどは成虫にならないままコンポスト内に留まっていました(写真下の白っぽいもの)。混ぜるたびにゴロゴロと幼虫が出てきてちょっぴりホラーでしたが(そのうち慣れましたが)、分解のスピードがいつもよりも格段に速いのです。調べてみると、この幼虫はバクテリアよりも数倍から数十倍の分解能力があるとのこと。虫はすべて害虫というわけではないんですね。
虫はわいたものの、コンポスター周りをブンブン飛び回って困るというようなことはありませんでしたし、通気性のあるコンポスターを庭に置いていることもあり、腐敗臭を感じたことも一度もなかったです。

ビニール袋に入れて生ゴミを捨てなくていい

どんなコンポスターをどのような環境で使うのかによって、堆肥化するまでの過程は千差万別。我が家とは対照的に密閉式のものを室内に置いている友人もいますし、虫嫌いの友人はファスナーつきのバッグ型をベランダに置いています。共通する作業は、毎日生ゴミを入れて混ぜること。コンポスター内の様子を見つつ混ぜることさえ続けられれば、コンポストは作れます。住環境や生活スタイルに合ったコンポスターを選んで、まずはトライ!です。
コンポスト生活を約1年続けて気づいたのは、燃やせるゴミというのはほぼ生ゴミだったということです。ゴミの量が驚くほど減りましたし、夏場のイヤな生ゴミ臭ともお別れできました。野菜くずなどは新鮮なままコンポスター行きなので、キッチンはいつも清潔。結果として栄養のある堆肥ができ、庭の土は肥え、地球にやさしいサスティナブルな暮らしができている。こんな気持ちのいいことはないなぁと感じています。

撮影・文/石野祐子(Forest inc.

フリーランスエディター・ライター。家事セラピストユニット「いえはな」主宰。海外ウエディング誌、女性情報誌、ファッション誌、インテリア誌などの編集を経てフリーに。料理やインテリア、育児、健康など、女性の暮らしにまつわるジャンルにて執筆。また、文筆家&生活哲学家・辰巳渚主宰の『家事塾』にて学び、1級家事セラピストの資格を取得。2016年より自宅教室「いえはな」を主宰し、すっきり暮らす片づけの考え方や、日々の家事をラクに気持ちよく回すための秘訣を伝えている。

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