Brillia くらしのコラム

【防災コラム】レスキューナースが教える災害を生きぬくヒント

大掃除や模様替えと一緒にちょこちょこやる防災対策

防災対策をしなくちゃと思いつつ、手が出ない。その上、大掛かりなことは気になりつつも腰が重い。だからこそ普段は気にならない場所も目を向ける絶好のチャンス。年末の大掃除や模様替えのタイミングで防災対策も一緒にしませんか?  最近は地震や台風、豪雨などによって、日本各地で起こる自然災害に、不安や危機感を感じるようになってきました。いざという時慌てないよう、備えておきましょう。

家具を動かすこの機会に防災対策

年末の大掃除やお部屋の模様替えをする時は普段動かさない家具を動かす良い機会です。災害時に備えて家具や家電などの固定や、飛散・落下防止対策をしましょう。家具の転倒防止対策はやはり効果絶大です。私自身も大阪府北部地震ではその威力を実際に体験しました。マンションの12階で震度6強の地震にあったのに、ペットボトルや調味料の瓶が4本倒れただけでした。しかしお隣さんは家中のものが倒れたり落ちてきたりして、住める状態ではありませんでした。お隣の奥様は倒れてきたテレビボードに挟まれて大けがをしてしまいました。実は地震被災された30~50%の人が家具の転倒によってけがをしています。家具が倒れると避難が遅れたり、落下した家電から火が出たりすることも。とはいえ、家具を動かす、物を動かすのは普段は億劫なものです。なので思い切って大掃除や模様替えの時に一緒にするのがよいでしょう。家具や冷蔵庫の固定には壁にネジ止めする「L字金具」が確実です。家電や賃貸など穴を開けられない場合、家具と床の間には「転倒防止板」、天井の間に設置する「突っ張り棒」や、床に家具を粘着させる「耐震マット」で転倒を防ぎましょう。また天板にのせている物を降ろして、拭き掃除したら、ついでに滑り止めシートを敷いてください。きっちり測らなくても大丈夫。本や食器なども落ちにくくなります。ただし設置の際に不安定なイスなどを使うと落ちてけがをすることもあるため、難しい作業は無理せず業者に依頼しましょう。

ガラスに飛散防止フィルムを貼る

窓や食器棚のガラスが割れると、破片によるけがや逃げ遅れの原因になります。百円均一ショップなどで売っている「飛散防止フィルム」を貼るとガラスが割れたときに破片が飛び散らないだけでなく、ガラスが割れにくくなり、外から飛んできたものが室内に入るのも防いでくれます。とはいえ、ガラスが汚れていると貼り付けられないため、大掃除のついでに貼るのがおすすめ。難しければ片付けにも重宝する養生テープを常備しておくとよいでしょう。台風前に×印の形に貼れば飛散防止にもなります。そして重ね技としてカーテンは必ず装着してください。もし買い替えを考えているなら床より5センチ長めにしておけば割れたガラスが部屋に飛び散るのを防ぐこともできます。照明器具などもできればガラスから樹脂製のものに変えてみたり、割れた際に飛び散りにくいような素材でできたものに変えるのもよいと思います。飛散防止スプレーなどがホームセンターで売っているので、それを使うこともよいでしょう。

棚の中身や上部を整理する

棚の中にものを詰め込んだり、背の高いタンスの上にものを置いたりしていませんか?  そのままでは万が一地震が起こった時、棚からものが落ちてけがをする危険が。特にガラス・陶器は重くて割れやすいため、頭の上に落ちたら大変です。思わぬけがを防ぐため、掃除のついでに収納品の整理整頓をしましょう。基本は「重いものは下に、軽いものは上に置く」です。特に吊り戸棚にはあれこれ詰めている方が多いのも事実。そこに収納するべきものなのか? そもそも本当にそれが必要なものなのかを見直すこともこの機会に一緒にやってしまいましょう。物を捨てられない時は、<とりあえず>の段ボールに入れて、後から検証し直します。日のあたるリビングのテーブルにそれを置いてじっくり眺めてください。捨てられないものは、今の生活に必要ですか? 物ではなく、思い出に縛られていませんか? もし思い出に縛られているなら写真や動画を撮って、もう一度<とりあえず>の段ボールに入れます。しばらくたってもそこから出すことがないなら、それはもういらない物なのです。これは私が実践した体験です。引越しと共にずっと連れてきた思い出グッズを詰め込んだ段ボール6箱を整理する時に使ったテクニックです。そしてなんと、全部捨てることができました(笑)。物と思い出を整理しながら「高い場所に重いものは置かない」「食器の下に滑り止めシートを貼る」などの防災対策をしましょう。

強風や豪雨の被害を防ぐ準備

街並みを引っ掻き回していく強風と豪雨。準備不足だとけがをしたり、大切なものが壊れてしまうこともあります。台風による強風で物が飛んでくるなどの物理的な被害から身を守るため、掃除のついでに備えておきましょう。物干し竿やワイヤーハンガー等は思いのほか凶器になります。物干し竿は物干し竿留めなどを使ってずれたり落ちたりしないように固定します。ワイヤーハンガー、洗濯バサミなどはベランダに出しっぱなしにはせず普段は部屋の中に置きましょう。また、雨戸や網戸は風で飛んできたものから窓ガラスを守ってくれます。前もって状態も確認しておきましょう。 「雨戸の開け閉めはきちんとできるか」「雨戸を閉めた時、隙間ができていないか」「網戸が破れていないか」「窓のレールにゴミが詰まっていないか」などの対策をしておくと安心です。 そしてベランダや庭のものを片付けます。ベランダや庭、玄関に植木や飾りなどを置いている場合は、台風が来るときだけ、全て片付けておきましょう。「大きなものや植木鉢は端に寄せるか紐で固定する」「小さな植木鉢や洗濯バサミなどは家に入れておく」「小さなゴミや小石が落ちていれば掃除をする」など、掃除の際についでに整理整頓をしてしまいましょう。それからベランダの排水溝を丁寧に掃除することも必須。ここに落ち葉やゴミ等が詰まっていると排水に影響が出てきます。排水がうまくいかず大雨の際にマンションの高層階でも「部屋の中に水が入ってきた」という例もあります。普段はちょっと面倒なことでも、掃除と一緒ならできるかもしれません。できれば年2回は掃除と一緒に防災対策をやってみてください。そんなちょっとした行動があなたの、そしてあなたの大切な人の命を守るのです。

辻 直美(国際災害レスキューナース)

一般社団法人育母塾 代表理事
国境なき医師団の活動で上海に赴任し、医療支援を実施。帰国後、看護師として活動中に阪神・淡路大震災を経験。実家が全壊したのを機に災害医療に目覚め、JMTDR(国際緊急援助隊医療チーム)にて救命救急災害レスキューナースとして活動。
現在はフリーランスのナースとして国内での講演と防災教育をメインに行い、要請があれば被災地で活動を行っている。
著書に『レスキューナースが教える プチプラ防災』『レスキューナースが教える 新型コロナ×防災マニュアル』(ともに扶桑社刊)がある。

※掲載の情報は、2022年12月現在の情報です。
※コラムの内容に関する解釈は、筆者の経験に基づく見解であり、公式な情報ではないことも含まれます。

このページの先頭へ戻る