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【防災コラム】レスキューナースが教える災害を生きぬくヒント

コロナのようなパンデミックが起きた時

夏には一度は落ち着いたように見えた新型コロナウイルス感染。しかし11月に入って一気に拡大しています。感染経路が分からない人が増え、分かっている人たちの中でも、家族感染が一番の理由になっています。感染が市中に拡がると一体どんな影響が私たちにあるのでしょうか? 具体的にご紹介したいと思います。

生活や常識さえも変えてしまった新型コロナ

新型コロナウイルスは、世界の常識を変えるほどの勢いで感染拡大しています。11月に入り感染者数が毎日増え、私たちはまたもやコロナとどう付き合っていくのか?を改めて考える時期にきています。
最近の感染者は徐々に高齢者が増加。医療現場はコロナに対する知識や物、方法を熟知しているので、対応できます。問題は、医療現場ではない所での感染が拡がっているというところ。感染先は家庭内感染、高齢者が利用する施設に移り変わっています。高齢者利用施設の職員たちは感染対策を熟知しているわけではありません。さらに家庭内感染が増えてくると、家族それぞれがウイルスに対応できる知識を持ち、予防対策を講じることが大切になります。家庭内感染が増えればあっという間に感染者数は増えていきます。感染者数が増えれば医療現場はパンク。それは私たちの生活に影響するのです。

今世の中では何が起きているのでしょうか?

夏には一度は落ち着いたように見えました。しかし11月に入って一気に拡大。今や、第3波の渦中で、市中感染と言われています。毎日感染者の数は過去最高と更新され、重症者も日に日に増加。重症者ベッドもほぼ満床、コロナ専用病床も使用率が40%を大きく超えています。では市中感染とはどういう状態なのでしょうか。これは特定の店の利用など感染経路が推定できる感染ではない。通勤・通学の途中や繁華街など日常生活の中で感染経路が分からない感染が起きている状況のことです。新型コロナ感染症は無症状で自覚がないことがあります。PCR検査を自主的に受けなければ、自分が感染していると気が付きません。無症状患者は普通に外に出て生活をしています。つまり無症状の感染者があなたの周りに居ても不思議ではない状況なのです。あるいは、気が付かないだけで自分自身が感染しているかもしれません。こうやってコロナ感染患者が増えていきます。今や、感染する機会はどこにでもあると思っても間違いありません。

家族感染から引き起こされること

家は家族が出かけてきて生活するところ。そこに外からウイルスを持ち帰っているかもしれません。無症状なら感染していても、感染させても自覚がありません。家族感染で一番リスクがあるのは高齢者と同居している人。高齢者は基礎疾患を持つ人が多く、感染すると重症化しやすい。
今やコロナ対策は必須。個人の行動が感染予防に大きく関わります。それが毎日の事で疲弊してしまうことも。やらなきゃいけないことが分かっていても日々の生活もある。どんどん心が不安定になりますね。なんとなくイラついている人や言葉使いが荒々しい人、最近多いと感じます。それは今までにはなかった疲れや不安がベースにあるから。不安からコミュニケーションがうまく取れなくなり、ギクシャクした関係を作ることもあります。感染者や濃厚接触者になった本人はもちろん、家族みんなが自分の行動を反省したり、責めてしまったりして落ち込むこともあります。家族内感染は、病気だけではなく不安というウイルスが感染するのです。

コロナ専用病床が確保されてるから大丈夫?

日本では各都道府県の管轄でコロナ専用病床が用意されています。療養先はその症状や重症度によって振り分けられます。PCR検査で陽性となれば、重症度が高い順番に病院、ホテル療養、自宅となります。コロナ病床は重症ベッドも含めて、各自治体によって数が決められ、指定された病院に振り分けられています。そして感染症患者さんが入院していない時は、普通病床として使用しているところが大半です。もし専用病床が足らなくなると、各都道府県知事がそれぞれの病院に専用病床の確保を要請します。要請を受けた病院はコロナ専用に今まで普通病床として使っていたベッドを空ける。入院している患者さんを、他の病棟もしくは病院に転院させてでも確保します。そのためには患者さんや家族のご理解が必要。そして人材、時間、労力もかかります。また、普通病床が削られるだけでなく、そこから医師や看護師が集められたりもします。つまり普通病棟に影響が大きく出ます。感染者が増えても、すぐに専用病床が運用できるわけではありません。

市中感染が起きると自分の生活にも影響が出る

コロナ患者への対応にはいつも以上にマンパワーが必要です。市中感染が拡大して患者が増えれば、一般患者にかける労力や時間を削らないと難しくなります。重症病床、ICU病棟、人工呼吸器、エクモ(体外式膜型人工肺)、そこで働く人たちも限られている。普段であれば早めの対応で救われた命。現場がうまく回せないと、予定されていた入院や手術が延期、日常ならできる対応も回数が減らされるかもしれません。
これは私たちの日常生活にも影響があります。今までは体調が悪くなり病院に行く。そこで先生に診てもらい、適切な処置が受けられた。このまま感染拡大すれば、医療者は感染症患者を優先し、その対応に追われます。受診察手続きをしてもすごく待たされたり、外来の時間や、受付時間が狭まったりするかもしれません。外来の受け入れそのものが減らされる可能性も。あなたや家族がどれだけ困っている状況でも、受診そのものを断られることもあります。入院するベッドが確保できなかったり、診察をする先生や看護師が確保できなかったり。断るのにも理由があるのです。

知らないうちに降りかかるコロナの影響

先日離れて暮らす家族が入院しました。救急病院が決まるまで90分。コロナの影響で受け入れ先が見つからないのが原因です。 そして入院してから一度も顔を見ていません。今は感染防止対策として病棟に外部の人は入れない。付き添い、お見舞いもできない。家族の手を握ることも、顔を見て励ますこともできません。日々の状況も思うように把握できないし、本人が何を望んでいるかも見えないのです。主治医ともなかなか会えないし、お世話になっている看護師さんたちの顔も分からない。不安で落ち着かない毎日です。医療に関わる私ですら、予想できなかった心の切迫感。治療に対して先が見えないのも不安です。まさかこういう形でコロナの影響を受けるとは思いませんでした。若い人も含めて、その人の人生プランに大きな影響を及ぼす可能性は出てきます。今はとにかく体調管理をして、心身ともに心地よく過ごすことが必要です。今まで適切に受けられた医療は逼迫しています。あなたの生活にも大きく関わることを考えておきましょう。

辻 直美(国際災害レスキューナース)

一般社団法人育母塾 代表理事
国境なき医師団の活動で上海に赴任し、医療支援を実施。帰国後、看護師として活動中に阪神・淡路大震災を経験。実家が全壊したのを機に災害医療に目覚め、JMTDR(国際緊急援助隊医療チーム)にて救命救急災害レスキューナースとして活動。
現在はフリーランスのナースとして国内での講演と防災教育をメインに行い、要請があれば被災地で活動を行っている。
著書に『レスキューナースが教える プチプラ防災』『レスキューナースが教える 新型コロナ×防災マニュアル』(ともに扶桑社刊)がある。

※掲載の情報は、2020年11月現在の情報です。
※コラムの内容に関する解釈は、筆者の経験に基づく見解であり、公式な情報ではないことも含まれます。

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