Brillia くらしのコラム

【防災コラム】レスキューナースが教える災害を生きぬくヒント

思わぬところで災害に遭った時、あなたのするべき行動は?

ここ最近、日本では「1000年に一度」「100年に一度」と呼ばれる大きな災害が頻発しています。また、天災以外でも都市機能が麻痺したり、水道が5日間停止することもありました。私たちが日本に住む以上、災害は切っても切れません。インフラは思っているよりも復旧まで時間がかかります。どんな時でも快適な生活をするためのテクニックをご紹介します。

地震発生後、あなたは命を守る行動がとれますか?

2021年10月7日22時41分、関東で最大震度5強の地震が起きました。緊急事態宣言解除後だったこともあり、たくさんの人が外で被災を経験されました。電車が運休、停電、一部のエリアでは断水もあったとのこと。災害が起きると、よく聞くフレーズ「命を守る行動」、これを聞いて動ける人はかなり少ないのです。たいていの人はスマホを見てフリーズ。災害が起きた時の行動は、前もって決めておかなければ動けないものです。咄嗟に逃げることができた人は、ほとんどいなかった。誰かがタクシーに並び出したらそれについていく。駅のホームから誰かが動き出したら、ついていく。本当にそれで助かることはできるのでしょうか?
あなたは揺れ出したらどう行動するのか把握できていますか? 自宅だけではなく、会社、駅、お店など災害時の場面をイメージして、動くのか、動かないのかを決めておくことが大事です。


被災した時の行動は前もって決めておくこと


大阪北部地震(2018年6月18日)で被災した駅のホームの様子

外出中に被災(電車やホーム)したら?

地震が起きた時、あなたがホームにいるなら、迷わずに電車の中に入ることがおすすめ。ホームにいるよりも電車の中の方が安全だからです。ホームでは上からものが落ちたり、たくさんの人がいて将棋倒しになることも。電車の中に入れなければ、ダンゴムシのポーズをとってください。ダンゴムシのポーズとは両手の手のひらを重ねて首の真ん中(頸椎延髄)を守り、おへそを見て丸く小さくなるポーズです。鞄がある場合は、頭と首の真ん中を鞄で守ってください。車内にいる場合は、人が少なければダンゴムシのポーズ、人が多い場合はつり革や手すりなどを持って投げ出されないように気をつけましょう。
地下鉄は意外と地震には強い設計になっています。不安や恐怖からいきなり車外に出るのは危険。電車が運行再開する場合、他の電車や関連会社との安全を確保してからとなります。その際に人が線路内に立ち入ると二次的災害が起きます。駅員や車掌の指示に従って行動するようにしてください。

電車が停止、ライフラインが一時的に止まったら?

先日の地震でも駅にたくさんの人があふれ、長時間タクシーを待ち、駅で雑魚寝。こんな時のために行動を決めておきましょう。私は判断のめどを決めています。まず、水、飴、おにぎりを購入。モバイルバッテリーが少ない場合は購入。自宅から5km圏内の駅であれば迷わずに歩きます。それ以上の場合はタクシーに乗る。もし並んでいる人数が10人超えていれば、駅から離れた幹線道路に。なぜならば駅のロータリーに入れるタクシーの業者は決まっているからです。災害時には臨機応変に対応するところもあるでしょう。しかし長蛇の列に並ぶより、外で流れているタクシーをつかまえた方が確実です。この場合アプリでタクシーをつかまえることはおすすめしません。混乱している場合、確実に配車できるとは限らないからです。幹線道路でタクシーが見つからなければすぐにビジネスホテルを探します。少しでも安全で快適に過ごせるように行動を決めておくことがポイントです。


地震(2021年10月7日)が起きてから品川駅でタクシーを待つ人の群れ


家まで歩いて帰れるのはせいぜい10kmまで

自宅まで20km以上でほぼ帰宅困難に

地震が平日の昼間に起きた場合、帰宅困難者は1都3県で約650万人。徒歩で帰宅できる距離は成人なら10km未満。20km以上自宅から離れている人はほぼ帰宅困難になります。普段から歩き慣れている人ならともかく、運動不足の方は5kmでも厳しいでしょう。普段とは全く違う状況で歩くことは相当なストレスになるからです。被災時は歩きやすい靴とは限らない。二次災害で橋や道路の損壊をはじめ、建物が倒壊したり、電柱が倒れたり、火災が起きたりする可能性も。歩道に人があふれることで、救急車や消防車など緊急車両の邪魔になり、群衆雪崩や集団転倒も起こりやすくなります。
対処法は「むやみに動かない!」。受け入れ態勢のある防災施設を活用しましょう。十分な情報がないまま移動を開始するのは、とても危険。まずは職場や学校、「一時滞在施設」など、すぐ近くの安全な場所に身を寄せましょう。

通信障害で予想以上の被害が起きる

近年は台風や大雨、また自然災害以外でも通信障害が起きることがあります。2021年10月14日にはdocomoの大規模な通信障害が起きました。少なくとも約1,290万人のユーザーが影響を受け、電子決済サービスや、人との連絡、待ち合わせなどができないというトラブルが発生しました。スムーズに対応するためには ①自宅にWi-Fiを契約 ②モバイルWi-Fiの持参 ③他のキャリアのSIMの利用、契約 ④街中での無料Wi-Fiの利用 ⑤現金を持参 ⑥コンパスを携帯 の6つがおすすめ。 街中での無料Wi-Fiスポットは前もって調べておくこと。コンパスは方位を確認するために普段から使い慣れておくこと。大きな災害が起きると、いつも見ている景色とは全く変わり、自分の居場所が特定できなくなります。それは避難するときに非常にマイナス。普段からスマホの地図などに頼っている場合、アナログで自分のいる場所を確認することができません。また、災害時には電力が非常に大事であるため、アナログでできることはなるべくアナログを使用することで、スマホを「情報収集機器」として有効に使うことができます。私が常日頃から持参しているコンパスはこういう時はもちろん、普段から大活躍です。


通信障害は意外なところまで生活に被害を及ぼす


安否確認の方法は日頃から練習しておく

家族同士の安否確認方法を決めておく

安否確認には以下の方法があります。
①災害用伝言ダイヤル「171」に電話をかけると伝言を録音・再生できる。一般加入電話や一部のIP電話からも利用できるのが魅力。もちろん携帯電話やPHSからも利用ができます。
②災害用伝言板
携帯電話やPHSからインターネットサービスを使用して文字情報を登録、自分の番号を知っている家族などが情報を閲覧できる。
③ SNSの利用
災害時に強いのはLINE。Twitterで自分の居場所を写真などで共有し助けを求めることも可能です。1、具体的に救援内容を書く 2、住所が分かる場合は具体的に、分からない場合は目印などを 3、ハッシュタグ #救助 をつけて 4、可能なら写真をつけて 5、住所が分からない場合は、位置情報をオンに設定する。
防災で大事なのは知識と経験です。
何事も前もっての準備が命を助けます。

辻 直美(国際災害レスキューナース)

一般社団法人育母塾 代表理事
国境なき医師団の活動で上海に赴任し、医療支援を実施。帰国後、看護師として活動中に阪神・淡路大震災を経験。実家が全壊したのを機に災害医療に目覚め、JMTDR(国際緊急援助隊医療チーム)にて救命救急災害レスキューナースとして活動。
現在はフリーランスのナースとして国内での講演と防災教育をメインに行い、要請があれば被災地で活動を行っている。
著書に『レスキューナースが教える プチプラ防災』『レスキューナースが教える 新型コロナ×防災マニュアル』(ともに扶桑社刊)がある。

※掲載の情報は、2021年11月現在の情報です。
※コラムの内容に関する解釈は、筆者の経験に基づく見解であり、公式な情報ではないことも含まれます。

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