Brillia 防災コラム

【防災コラム】レスキューナースが教える災害を生きぬくヒント

災害時の情報収集の仕方

もし地震が起きたら あなたはまず何をしますか? 頭を守る? 火を消す? ドアを開ける? 想定していても、実際はスマホをじーっと見ていないでしょうか? 地震以外でも災害が起きたら身の安全と同時に災害に関する情報収集が必要です。デマやフェイク、もしくは過去の災害情報を勘違いして見ていることもあります。いきなり起きる災害に対応するための情報収集のポイントをお伝えします。

災害時の情報収集は自分の目とラジオを優先

地震が起きたら、まず最初にスマホを見る。そんな方が非常に多いと思います。そしてそのままスマホに張り付いてずっと動かない。「震度6、津波の心配なし」。こんな情報に勝手に安心していないですか? もし第2波がやってきた時、あなたは対応できるでしょうか? そして次々と入ってくる情報をきちんと整理して分析ができると思いますか? 今や情報はあらゆる方向から発信されます。それが今のものなのか、過去のものなのかもよく注意して見ないと判断できません。スマホを見る前にしてほしいのは、自分の今の状況の把握です。家の中の被災状況、そしてライフラインの確認。次に玄関のドアは開くのか? さらに家の外の状況も確認が必要です。そして家の中の確認をすると同時に、ラジオをつけること。ラジオがよいのはスマホの文字の情報よりも理解しやすい。停電とは関係なく、随時情報が更新される。そしてスマホのバッテリーを減らさない利点もあります。

災害時のネットの使い方にはコツがある

災害時における情報収集にはネットが重要な役割を果たします。多くの場合、災害時は停電します。停電するとテレビは使えないため、情報収集ができません。しかし、充電済みのパソコンやスマホであれば、自分が危険な場所にいるのかどうかを確認することができます。そのためにも常に充電しておくこと、バッテリーを用意しておくことが求められます。とはいえ、災害時のネットは万能ではありません。災害が起きると多くの人がパニックになります。たくさんの人々が情報収集のため同時にネットを利用すると、基地局からの電波が弱くなったり、サーバーに負荷がかかりサイトが見れなくなったりと、ネット環境があっても使えないという事態に陥ります。6時間程度は電話やネットがつながりにくくなるため、まずは安全を確保した上で機器のバッテリーが失くならないようにしておきましょう。そこで使えるのが充電式または電池式のラジオ。普段から聴いてお気に入りのパーソナリティを見つけておきましょう。

災害前にしておくのがハザードマップのチェック

災害が起きる前に「防災の基本」のハザードマップを見ること。自分のいる場所が水害リスクが高いエリアであるとか、地震が起きた時に地盤に不安のあるエリアではないか気になります。そこで避難所の場所を先に知っておくと、万が一のリスクを下げることができます。避難所は災害に対してオールマイティではありません。地震、水害、火事で異なるのでどこの避難所が最適なのかもあわせてチェックしておきましょう。また避難所までの経路には、倒壊の危険がある、電信柱やブロック塀などの有無、緊急避難道路(災害時に自治体・警察、消防・自衛隊・医療等の車両が優先され一般車両の通行が禁止される道路)なども調べておくとよいです。そのためには実際に避難所まで歩いてみましょう。できれば防災リュックを背負って歩きましょう。階段や坂道、危険ポイント、そして自分の体力もわかります。自分はどれぐらいの重さのリュックが持てるのか、どの道で逃げるのかを決めることが大事です。


「Yahoo!防災速報」https://emg.yahoo.co.jp/
「ウェザーニューズ」https://weathernews.jp/s/
「特務機関NERV防災」https://nerv.app/

地図アプリや防災アプリをダウンロードしておく

災害時には情報をいち早くキャッチすることで身の危険を減らすことができます。
おすすめのアプリが「Yahoo!防災速報」「ウェザーニューズ」「特務機関NERV防災」の三つです。「Yahoo!防災速報」は 現在地と国内3地点まで設定可能、緊急地震速報などさまざまな情報に対応、災害マップユーザ同士で状況を共有できてどんな災害がどこまで迫っているのがわかります。プッシュで情報を送ってくるので情報を逃すこともありません。「ウェザーニューズ」は日本最大の気象観測網と、全国のウェザーリポーターとの気象情報を通じたネットワークを通じて予報を改善。今の天気も、先の天気もリアルタイムで発信しています。スマートアラームの設定をONにしておくだけで、GPSによる位置情報をもとに、今いる場所の最新の気象情報を入手できます。「特務機関NERV防災」はゲヒルン㈱が開発・提供する地震・津波・噴火・特別警報の速報や洪水や土砂災害といった防災気象情報を配信するスマートフォン用の無料アプリです。緊急地震速報がエリアメールより早いし、震度速報もバンバン来る。新しい情報をすぐに見ることができる。そして画面が見やすいことが特徴です。

災害時のリアルな情報はTwitterが一番

Twitterは、テレビやラジオなどでは把握し切れない、「現地でのリアルな災害状況」を知ることが可能です。内閣府や自分の住む自治体、災害関連、消防庁などからは必要な情報が発信されます。それ以外でも信頼できるアカウントもあります。名前と顔出しをして、自分の職業を明記しているなら信頼できると思います。普段からフォローし、その人が普段からどのような配信をしてるのかを見て判断してください。確認できない情報は共有しない、情報共有するときには日時を必ず明記しておきましょう。
災害時以外にも、#を使って検索をすればピンポイントで情報を収集することが可能です。例えば#大阪北部地震 で検索したら、 その#をつけた記事が羅列されます。自分の住む土地や予想される災害のワードを入れて検索すれば、事前に「実際に体験した人の声」を読むことが可能です。私も災害が起きた時にはTwitterにどんどん情報を発信しています。何も起きていない時にこそTwitterを見て慣れておいてください。
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例 : 内閣府防災 (@CAO_BOUSAI)
首相官邸 (災害・危機管理情報) (@Kantei_Saigai)
総務省消防庁 (@FDMA_JAPAN)
国土交通省 (@MLIT_JAPAN)
辻直美 (@tobecoolnao)

家族の安否確認は「災害用伝言ダイヤル171」を使おう

「災害用伝言ダイヤル」。これは大規模災害によって被災地への電話が増加し、つながりにくい状況になった時に提供が開始される伝言サービス。固定電話、携帯電話・PHS等から「171」をダイヤルすることで、利用ガイダンスに沿って伝言の録音・再生を行うことができます。毎月1日と15日には体験できるのでぜひご家族でやってみてください。ただ録音するだけでは身に付かないのでこんなやり方をご提案します。まず録音する人はあなたの食べたい大好物を1つ録音してください。再生した方は聞いたものをその日の夕食に並べてください。これで録音と再生のミッションが完了。お互いが録音し、再生すれば、自分の食べたいものがその夜には叶えられます。災害用伝言ダイヤルもゲーム感覚で、自分のメリットになることをすれば毎月やりたくなるはず! 情報収集も頭でイメージしてるだけではできません。いかに普段から当たり前にできるようになるのか、そのためには楽しくて自分にとって良いことが起きることがポイント。そんなイメージでやってみてください。そして171は「いない」で覚えましょう!

辻 直美(国際災害レスキューナース)

一般社団法人育母塾 代表理事
国境なき医師団の活動で上海に赴任し、医療支援を実施。帰国後、看護師として活動中に阪神・淡路大震災を経験。実家が全壊したのを機に災害医療に目覚め、JMTDR(国際緊急援助隊医療チーム)にて救命救急災害レスキューナースとして活動。
現在はフリーランスのナースとして国内での講演と防災教育をメインに行い、要請があれば被災地で活動を行っている。
著書に『レスキューナースが教える プチプラ防災』『レスキューナースが教える 新型コロナ×防災マニュアル』(ともに扶桑社刊)がある。

※掲載の情報は、2022年3月現在の情報です。
※コラムの内容に関する解釈は、筆者の経験に基づく見解であり、公式な情報ではないことも含まれます。

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